オリンピックの危機管理を担うのは、都、国、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会をはじめ、ライフライン企業、警備業者、さらにはオリンピックに関わる全組織、全国民といっていい。中核となる国と組織委員会の動きをまとめた。

編集部注:「リスク対策.com」本誌2015年7月25日号(Vol.50)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。役職、人名などは当時のままです。(2016年8月17日)

東京五輪は、2020年7月24日(金)~8月9日(日)までの第32回オリンピック競技大会と8月25日(火)~9月6日(日)までの第16回パラリンピック競技大会の日程で行われる。 

オリンピック28競技とパラリンピック22競技が、オリンピックスタジアムをはじめ、東京体育館、国立代々木競技場、日本武道館、有明アリーナなど都心を中心に開催され、観客と大会スタッフ数は1日当たり最大92万人、合計1010万人がにのぼると予想されている。各国からの選手数だけでも、仮に2012年のロンドン五輪と同じ規模としてオリンピック1万人、パラリンピック4000人と、1万人を超える規模になる。

これら大会の準備と運営にあたるのが、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会だ。公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)と東京都により2014年1月24日に一般財団法人として設立され、2015年1月1日付で公益財団法人になった。

2012年のロンドン五輪では、ロンドンオリンピック・パラリンピック組織委員会が中心となり、その名称(The London Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)を略してLOCOG(ロコグ)と呼ばれていたが、対して東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)はTOCOG(トコグ)とも呼ばれている。 

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)は、IOCやJOCの配下にあるわけでも、国の外郭団体でもなく、あくまで独立した組織体で、会長は、元内閣総理大臣公益財団法人日本体育協会名誉会長の森喜朗氏、スタッフは、企業や都庁、政府などからの出向者に加え、直接雇用で人員をそろえている(2015年6月末時点でスタッフは約350人)。もともと本部は都庁舎内と新宿のビルにあったが、今年3月から虎ノ門ヒルズに事務所を移転し、危機管理分野では、警備局、テクノロジーサービス局らが中心となり、準備を進めている。