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2012年に開催されたロンドン五輪は、イベントの持続可能性に関するマネジメントシステムの国際規格であるISO20121(Event Sustainability Management System:ESMS)が初めて適用された。2020年の東京五輪でも同規格を採用する方針が基本計画の中で示されている。これにより、オリンピックで使われる資機材や製品、サービスなどの広い範囲で、大会が掲げる持続可能な取り組み方針に基づき調達基準が設けられる可能性がある。オリンピックに関連するビジネスを目論む企業には最大のリスクになるとともに、こうした基準を満たすことで大きなビジネスチャンスが訪れるかもしれない。

編集部注:「リスク対策.com」本誌2015年7月25日号(Vol.50)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。(2016年8月9日)

ISO20121は、イベント運営における環境影響の管理に加えて、経済的、社会的影響についても管理することで、イベント産業の持続可能性(サステナビリティ)をサポートするためのマネジメトシステム。ロンドンオリンピック・パラリンピック組織委員会(LOCOG)のサステナビリティ・プロジェクトマネージャーを務めたアマンダ・カイリー氏(現BSI Groupサステナビリティ規格パブリッシングマネージャー)は本誌2014年7月号の中で「LOCOGでは、持続可能な取り組みを必要不可欠なアプローチとして、資材やサービス、労働力の調達に至るまで、環境や社会的な影響、経済的な評価などを徹底して行いました」と話している。 

具体的には、「気候変動」「廃棄物」「生物多様性」「社会的一体性」「健康的な暮らし」を取り組むべき5大テーマとして設定し、①宿泊施設・会議施設、②行政サービス、③業務用出張旅行サービスなど28区分における範囲で・同規格を採用。これら28区分では、「責任ある調達」「二次原料の使用」「環境負荷の最小化」「人や環境に害のない素材の利用」という4項目(計19カテゴリー)を原則にしたサステナブル・ソーシング・コードが設けられ、調達に関わるすべての企業にこのような指針を示し、実際の調達において持続可能な取り組みであるかをすべて数値化し評価をした。 

調達部門の「見える化」も実施している。例えば食料部門では商品をどこで誰が生産し、加工、包装したのか、また選手に授与されるメダルも原料の採掘から製造までの全てのプロセスを追跡できるようにした。サプライヤーが不法労働者を雇用していないか、障がい者に対する取り組みや性別、人種や属性などの多様性を尊重しているかなどの点も調べたという。 

一方、具体的な持続可能への取り組みとしては、温室効果ガスの排出を抑制するため観戦チケットに公共交通機関のフリーチケットをつけて利用を促したり、表彰式で渡す花束も、地域のサプライヤーが冷蔵せずに運ぶようにした。さらに、オリンピックの象徴となる聖火台も軽量化するとともに、大会中の燃焼も抑えた。このほか、公式グッズのバッグはリサイクル原料で作り、リサイクル、リユースマークを表記。ボランティアスタッフのユニフォームにも高い割合でリサイクル原料を使い、オリンピックとパラリンピックの両方で使えるリバーシブルデザインを採用し、障がいを持つ人にもフィットするように工夫を凝らしたという。

同大会では、LOCOGのほか、競技場や交通機関などの建設を担ったODAトランスポートや、大会スポンサーであるコカ・コーラらがISO20121を認証取得している。

(了)