2018/03/09
防災・危機管理ニュース
国土交通省は8日、「海岸保全施設における水門・陸閘(りっこう)等の維持管理マニュアル策定検討委員会」の第5回会合を開催した。津波や高潮対策で重要な水門や陸閘といった施設の管理に関する手引きを、主に堤防や護岸についてまとめている既存の「海岸保全施設維持管理マニュアル」に入れた、同マニュアル改訂のとりまとめを行った。土木構造物と設備部分にわけた点検・評価やライフサイクルコスト算定などを盛り込んだ。
水門・陸閘を支える堤防や護岸を土木構造物とし、設備部分と分ける。設備は動力で開閉したり、複雑な開閉機構を持ったりするような大規模設備を「一般点検設備」、小規模な設備を「簡易点検設備」と設定。一般点検設備は月1回、簡易点検設備は年数回の管理運転点検を行う。土木構造物は年数回の目視によるパトロールや、5年に1回程度の目視と計視による一次・二次点検を実施。津波や高潮といった災害発生後は、開閉操作を行ったりして臨時点検を行う。
評価については設備部分を5ランク、土木構造物を4ランクに分け、両者を組み合わせてA(措置段階)、B(予防保全段階)、C(要監視段階)、D(異常なし)に分類する。Aランクは機能に支障が生じ、補修や更新といった対策が必要。Bランクは機能に支障は生じていないが、進行性があり予防保全のため対策実施が望ましい状態。Cランクは経過の監視が必要としている。
また国交省の研究機関である国土技術政策総合研究所が今年度中に公表予定の「海岸保全施設のライフサイクルコスト算定ツール」を使い、対策費用の算定を行うことも呼びかけ。マイクロソフトの表計算ソフトであるExcel(エクセル)上で動き、計算がしやすくなっている。
国交省では今年度中にマニュアルを最終決定し公表する予定。その後、関係者向けの説明会を行う。マニュアル改訂により検査回数の増加が予測されることから、ドローン活用など効率化の検討も今後行われる見込み。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
過疎高齢化地域の古い家屋の倒壊をどう防ぐか
能登半島地震の死者のほとんどは、倒壊した建物の下敷きになって命を落とした。珠洲市や輪島市の耐震化率は50%程度と、全国平均の87%に比べ極端に低い。過疎高齢化地域の耐震改修がいかに困難かを物語る。倒壊からどう命を守るのか。伝統的建築物の構造計算適合性判定に長年携わってきた実務者に、古い家の耐震化をめぐる課題を聞いた。
2024/03/28
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月26日配信アーカイブ】
【3月26日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:四半期ニュース振り返り
2024/03/26
-
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月19日配信アーカイブ】
【3月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:副業・兼業のリスク
2024/03/19
-
リスク担当者も押さえておきたいサイバーセキュリティ対策の最新動向
本勉強会では、クラウド対応のサイバーセキュリティ対策の動向を、簡単にわかりやすく具体的なソリューションの内容を交えながら解説します。2024年3月8日開催。
2024/03/18
-
発災20分で対策本部をスタートする初動体制
総合スーパーやショッピングモールなど全国各地のイオン系列の施設を中心に設備管理、警備、清掃をはじめとしたファシリティマネジメント事業を展開するイオンディライト(東京都千代田区、濵田和成社長)。元日に発生した能登半島地震では、発災から20分後にオンラインの本社災害対策本部を立ち上げ、翌2日は現地に応援部隊を派遣し、被害状況の把握と復旧活動の支援を開始しました。
2024/03/18
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方