2018/03/30
激変の時代!海外リスクに備える

相談あればベストな判断を提供
医療については、26カ所のアシスタンスセンターをつなぎ、24時間365日、全世界の顧客に医師が応対している。また、資源開発関連など陸や海にかかわらず僻地で大掛かりなプロジェクトがある時には、敷地内にクリニックを設置することも可能。医師や看護師、医療機材や薬剤を同社がパッケージで手配するという大がかりなもの。初期診療が簡単に受けられない場所でも安心して働ける環境を作る。
メディカルディレクターの葵佳宏氏は顧客に対し「会員は、とにかく何かあれば当社のアシスタンスセンターに相談してほしい」と語る。病状の早期であればあるほど、選択肢が広がるため、ベストな対応をアドバイスできるからだという。過去の経験では、指の損傷を現地の病院で治療を受けていたが、送られた写真を見て指の壊死(えし)が進んでいたため、急きょ医療先進国での受診を勧めたケースがあったという。別のケースでは、インドのニューデリーにおいて交通事故で骨盤を骨折。本人は日本での治療を希望したが、「長距離の搬送はかえって危険。ニューデリーであれば、現地で十分な外傷治療が可能」と判断。リスクとコストも考慮し、現地治療をアドバイスした。
「『適した時間』に『適した場所』で『適した医療チーム』による治療につなげることが重要」と葵氏は説明。必ずしも、医療先進国に移ったり、帰国しての治療がいいとは限らないけれども、反対に現地で自己判断で治療を受け、こじらせてしまうことも多くあるという。「何かあれば私たちに相談すれば、ベストな選択をアドバイスする」と葵氏は呼びかけている。
また葵氏は事前の備えの重要性も指摘。赴任前・出張前に慢性疾患や必要なワクチンの接種などの相談をすることを訴えた。「薬剤や医療用品は国によっては入手困難なこともある」と説明。治療費については、海外では一般的な虫垂炎の手術でも、治療に200万円以上要することが少なくない。大手術や集中治療が行われる時は、あっという間に数百万の医療費にのぼることも。そのため、病院にインターナショナルSOSが支払い保証や立て替え払いを行う場合もある。費用が発生した場合の備えとして海外旅行保険に加入する場合は、十分な補償内容・額を選ぶことが大切だ。事前の備え、いざという時の適切な判断のため早めに連絡をする必要性を葵氏は強調した。
インターナショナルSOSでは国別に医療リスクと渡航リスクを地図上に示した「トラベルリスクマップ」をネット上で公開。医療リスクは5段階で評価し色分け。渡航リスクも5段階評価のほか、国全体のリスク評価と異なる地域については斜線で示している。
■「トラベルリスクマップ」のダウンロードはこちらから
http://www.internationalsos.co.jp/travel_risk_map/index.html
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
- keyword
- インターナショナルSOS
- 海外リスク
- 医療
- 渡航
激変の時代!海外リスクに備えるの他の記事
- 海外進出の中小企業に緊急時支援
- 海外子会社のリスクを把握し対策の手立てを
- 90カ国で安心のセキュリティ・医療を提供
- トランプ政権に世界経済ほんろう
- EU個人データ保護法対応ソフト
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/18
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
-
-
-
-
DXを加速するには正しいブレーキが必要だ
2月1日~3月18日は「サイバーセキュリティ月間」。ここでは、企業に押し寄せているデジタルトランスフォーメーション(DX)の波から、セキュリティーのトレンドを考えます。DX 時代のセキュリティーには何が求められるのか、組織はどう対応していくべきか。マクニカ ネットワークスカンパニー バイスプレジデントの星野喬氏に聞きました。
2025/03/09
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方