熊本市は3日、日本マイクロソフト社のクラウドサービスを活用した市職員・教職員の働き方改革推進基盤構築プロジェクトを開始すると発表した。右が大西市長、左は日本マイクロソフト・平野拓也社長

熊本市は3日、日本マイクロソフトと提携して、ICT技術やクラウドを活用した働き方改革推進で連携すると発表した。同市は来年4月までにマイクロソフトが提供するクラウドベースのソリューション基盤を市内1万2500人の市職員・教職員に導入。これらを活用し市職員・教職員の労働を効率化しながら、市民サービス向上や質の高い教育を目指す。平時の情報インフラを災害時にもそのまま活用できるようにする。すでに同社ソリューションを導入は企業・地方自治体は数百社あるが、今回の規模での導入する自治体は全国で初めてだという。

熊本市では2016年4月に発生した熊本地震で、日本マイクロソフトが統合型クラウドサービス「Office365」と端末機「Surface」など600台を熊本市に無償提供し、当時250カ所以上あった避難所と物資拠点・市役所間で、パートナー企業やNPOと連携した情報連携システム「くまもとRねっと」を構築して、市職員の情報連携に役立てた経験がきっかけとなった。その後も同社との交流の中で、システムを通じた改革を続ける同社社社員の取り組みに刺激を得て、今回同社と連携した「働き方改革基盤構築プロジェクト」の開始を決めたという。

同プロジェクトにより、熊本市では、これまでOS「Windows7」を主体としたデスクトップ型PCを採用していたものを、来年4月までにOS「Windows 10」と統合型情報共有クラウドサービス「Office 365」を含めた「Microsoft 365」を全庁で採用する。その後順次、市民からの問い合わせ対応にコミュニケーションツール「Skype for Bussiness」を利用する、市民からの問い合わせ対応・窓口支援・施設予約にAI(人工知能)を活用した自動応答システム「チャットボット」を導入する、生産性分析ツール「My Analytics」により働き方を可視化し、AIによる助言をもとに業務効率改善を行う、などを進めていく。また構築した情報インフラ基盤は災害時にもそのまま活用し、災害時にも迅速な情報共有で必要な人材・物資・資金の最適な割り当てられる体制をつくる。

一方市内全136校の市立小中高校の教職員約4500人に対しても、教育機関向けの統合型クラウドサービス「Microsoft 365 Education」を導入。文書のデジタル化・情報共有による印刷文書の削減、授業コンテンツの共有、教育現場での長時間労働を軽減などを実現し、児童や生徒と触れ合う時間を増やすことを目指す。

熊本市では、プロジェクト推進のため、マイクロソフトとのクラウドサービス契約のほか、必要なデバイスの更新、市内Wi-Fi環境の構築などを含め5年間で約47億の投資予算を見込む。一方これにより職員が必要な書類を探す時間が全職員で1日10分間短縮するだけでも年間約6億円の経費削減があると見込む。熊本市の大西一史市長は「プロジェクトにより市の行政の生産性をさらにアップしながら、被災者支援に集中していく。ひいては最終目的である市役所の業務システム再構築につなげていきたい」と話している。

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https://news.microsoft.com/ja-jp/2018/04/03/180403-kumamoto-city-workstyle-innovation/

(了)

リスク対策.com:峰田 慎二