画像を拡大 視覚記号の限界と未来

東京オリンピック開会式で話題になったピクトグラムのパフォーマンスが国内だけでなく海外の人からも称賛の声が続出したようです。開会式後、私に問い合わせがありましたが、東京オリンピック開会式に関わっていません。私であれば、無観客だからこそ空席を利用したピクトグラムアート(デジタルアート作品)で演出していました。

ちなみに「ピクトグラムアート」とは、ピクトグラムアーティストの藤代洋行が名付けた、ピクトグラムを2つ以上並べたデジタルアート(動画・静止画)作品です。

普段何気なく目にしているピクトグラム。今までピクトグラムやフラッグ(旗)のメリット、デメリットなどについて説明してきましたが、これを機に視覚記号の限界と未来をお伝えしたいと思います。

文字から視覚記号へと進化

文字を使わなくても、見て直感的に情報を伝えられるのが視覚記号(サイン)です。

1964年の東京オリンピック開催に当たって、外国人との「言葉の壁」を解決するためにピクトグラムによる案内用の記号が生まれました。ピクトグラムとは、「絵文字」「絵単語」「案内用図記号」など呼ばれていて、文字を使わなくても、見て直感的に情報を伝えられる視覚記号の一つです。アート・ディレクターの勝見勝氏は、ピクトグラムを日本の家紋から発想したようです。

あまり知られていませんが似たもので、1920年代オーストリア出身、教育者・哲学者のオットー・ノイラートとイラストレーターのゲルト・アルンツによる「アイソタイプ(Isotype)」が考案されていました。アイソタイプとは、絵で言語やグラフの数値などを表示(絵を使用した統計図表)したものです。

画像を拡大 見えにくい道路標識