2016/07/03
誌面情報 vol54
退避する場合のチェックポイント
このほか、退避を想定した場合の携行品などについては、例えば、6カ月以上有効な旅券を持つように定期的にチェックする。これは、国によっては6カ月以上有効でなければ入国を認めない国があるためだ。また、退避する場所によっては査証(ビザ)取得の必要性があるので、ビザがいるかいらないかを確認する必要がある。それから、現金。緊急事態になればなるほど、クレジットカードは使用できなくなる。空路での退避の場合には、輸送機の機内に持ち込める携行荷物は10キロ以内に制限されることもあり、トランクケースなど大きな荷物は持ち込むことができないため、荷物は10キロ以内にまとめておくことも必要である。
陸路による退避の場合は、安全なルートを把握することが大切だ。移動のための車も借り上げなくてはいけない。在外公館ではできる限りのことはやるが、どこまでできるかわからないので、退避される企業ごとに各々の対応を考えていただく必要がある。車での移動においては、ガソリンは途中スタンドで給油すればいいという発想ではダメで、自給自足を考えた方がいい。結構、見落としているのがフォーク。缶詰を積んでも、箸やフォークを忘れてしまう。このように、現地には何も無いという状況を常に頭に入れて対処ぶりを決めておくとよい。このような発想で考えると、トイレットペーパーやゴミ袋が必要ということがわかってくる。もちろん、移動中に定期的に身の安全を伝えるために携帯や無線機など連絡手段を確保しておくことは必要不可欠である。

社員の退避にあたって企業側が準備ないし検討しておくべきもの
・治安情報の把握
・定期商用便の運航経路、運航・予約状況の把握
・社員の人定事項データ保管(氏名,生年月日など)
・6カ月以上有効な旅券の所持
・経由地・目的地の査証取得
・航空チケットの購入(入手困難が予想される)
・食料品確保のための現金所持
・空路退避の場合、携行荷物は10kg以内
・陸路による退避のための安全なルート・宿舎の把握
・車の借り上げ(宿舎-空港、陸路退避)
・ 陸路移動中の食料品・物品の確保(水、ガソリン、パン、缶詰、フォーク、トイレットペーパー、ゴミ袋、充電器、懐中電灯、常備薬等)
・警護員、警護車の同行
・無線機、携帯電話の携行(連絡手段の確保)
・緊急連絡先リストの携行
誌面情報 vol54の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2023/01/31
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月31日配信アーカイブ】
【1月31日配信で取り上げた話題】家庭での防災行動を高めるために
2023/01/31
-
-
1000人に聞いた防災の取り組みと行政への期待
リスク対策.comは、地域住民がどの程度防災に取り組んでいるのか、また防災の観点から行政に対してどのような要望を持っているのかなどを把握する目的でインターネットによるアンケート調査を実施した。その結果、2021年5月から避難勧告が廃止され避難指示に一本化されたことについては約5割しか理解していないことや、平時から国や地方自治体の防災のホームページなどがあまり活用されていない実態が明らかになった。調査は、2022年11月21日から22日にかけてインターネット上で行い、全国の20歳以上の成人男女1000人からの回答を得た。質問は、回答の質を高めるため「この質問は一番右の回答をお選びください」という条件項目を入れ、適切な回答をしなかったものを除き、計889人を有効回答として分析した。
2023/01/30
-
社内滞在時をイメージさせる実践的な訓練と備蓄
テクニカルセラミックスを開発・生産するクアーズテックは2012年、東京都の帰宅困難者対策条例を機に一斉帰宅抑制対策に乗り出しました。独自のプログラムを追加した実効性の高い訓練や被災時の心理にも配慮したきめ細かな備蓄が評価され、2021年には東京都のモデル企業に。同社の取り組みを紹介します。
2023/01/29
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月24日配信アーカイブ】
【1月24日配信で取り上げた話題】最強寒波への備え
2023/01/24
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月17日配信アーカイブ】
【1月17日配信で取り上げた話題】防災心理を学ぶゼミ生が制作した企業の防災マニュアル/コロナ発生から3年 企業の初動対応を振り返る
2023/01/24
-
BCPと助け合える関係が機能した災害復旧活動
2019年の台風19号でグループ含め3工場が壊滅的被害を受けたカイシン工業は、経営トップが「全力復旧」の方針を発表すると各工場が即座に活動を開始。取引先や協力会社の支援を受けて設備の交換を迷いなく進めるとともに、代替生産によって早期に出荷を再開しました。同社のBCPと助け合える関係づくりを紹介します。
2023/01/19
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方