退避する場合のチェックポイント

このほか、退避を想定した場合の携行品などについては、例えば、6カ月以上有効な旅券を持つように定期的にチェックする。これは、国によっては6カ月以上有効でなければ入国を認めない国があるためだ。また、退避する場所によっては査証(ビザ)取得の必要性があるので、ビザがいるかいらないかを確認する必要がある。それから、現金。緊急事態になればなるほど、クレジットカードは使用できなくなる。空路での退避の場合には、輸送機の機内に持ち込める携行荷物は10キロ以内に制限されることもあり、トランクケースなど大きな荷物は持ち込むことができないため、荷物は10キロ以内にまとめておくことも必要である。

陸路による退避の場合は、安全なルートを把握することが大切だ。移動のための車も借り上げなくてはいけない。在外公館ではできる限りのことはやるが、どこまでできるかわからないので、退避される企業ごとに各々の対応を考えていただく必要がある。車での移動においては、ガソリンは途中スタンドで給油すればいいという発想ではダメで、自給自足を考えた方がいい。結構、見落としているのがフォーク。缶詰を積んでも、箸やフォークを忘れてしまう。このように、現地には何も無いという状況を常に頭に入れて対処ぶりを決めておくとよい。このような発想で考えると、トイレットペーパーやゴミ袋が必要ということがわかってくる。もちろん、移動中に定期的に身の安全を伝えるために携帯や無線機など連絡手段を確保しておくことは必要不可欠である。

社員の退避にあたって企業側が準備ないし検討しておくべきもの

・治安情報の把握
・定期商用便の運航経路、運航・予約状況の把握
・社員の人定事項データ保管(氏名,生年月日など)
・6カ月以上有効な旅券の所持
・経由地・目的地の査証取得
・航空チケットの購入(入手困難が予想される)
・食料品確保のための現金所持
・空路退避の場合、携行荷物は10kg以内
・陸路による退避のための安全なルート・宿舎の把握
・車の借り上げ(宿舎-空港、陸路退避)
・ 陸路移動中の食料品・物品の確保(水、ガソリン、パン、缶詰、フォーク、トイレットペーパー、ゴミ袋、充電器、懐中電灯、常備薬等)
・警護員、警護車の同行
・無線機、携帯電話の携行(連絡手段の確保)
・緊急連絡先リストの携行