2021/12/20
首都直下地震への備え 課題と対策
10月7日夜に発生した地震では、JR や私鉄の運転再開を待つ人が駅に滞留し、帰宅困難者が再びクローズアップされた。しかし、東京が抱える問題はこれだけではない。首都直下地震で想定される15万人の負傷者、9600人の死者への対応だ。できる限り死傷者を減らすことを含め、地震発生時の医療救護と救助の体制を福祉保健局医療政策部救急災害医療課と総務局総合防災部防災対策課に取材した。
医療救護・救助 東京都福祉保健局・総務局
災害医療を担う人材と体制
10 月7日夜、首都圏で10 年ぶりに震度5強を観測する強い地震が発生。JRや私鉄などの交通機関が運転を見合わせた。そのため運転再開を待つ人が駅に滞留。タクシー乗り場では長蛇の列が発生し、帰宅困難者が再びクローズアップされた。
しかし、東京が抱える問題は帰宅困難者だけではない。都が2012年に公表した首都直下地震の被害想定では、都内の死者は最大で約9600人、負傷者は15万人に及び、うち重傷者が2万2000人を占めると予想されている。
これだけの多くの負傷者を、都で救助が可能なのか。東京都福祉保健局医療政策部救急災害医療課は「想定規模の重傷者に対応できる体制になっている」と話す。
東京都には現在84の災害拠点病院、136の災害拠点連携病院、それ以外に約400の災害医療支援病院と約1万4000の診療所が存在する。災害拠点病院では主に重症者、災害拠点連携病院は中等者や容態の安定した重症者、災害医療支援病院は専門領域の治療や慢性疾患患者の対応と、役割分担が決まっている。
「東京都の災害時医療の特色は、災害医療コーディネーターを中心とした体制にある」と同課。災害医療コーディネーターは東日本大震災後に導入された役割で、大規模災害時に効果的な医療体制の確保を担う。
東京都災害医療コーディネーターは、都内全域の医療救護活動を統括・調整する都に、医学的な助言を行う。その範囲は広く、東京DMATや東京都医師会の医療救護班の派遣、他県から応援に入る医療班の割り振り、病院間の患者搬送の調整、災害拠点病院や災害医療支援病院への医薬品・自家発電用燃料、水などの補給調整に関わる[図参照]。
●災害時における医療救護活動の情報連絡体制①【発災直後~超急性期・急性期】(区部)
島しょ部を除く都内を12に分けた二次保健医療圏で活動する地域災害医療コーディネーターと区市町村の災害医療コーディネーターが連携して医療情報を集約し、限られた医療資源を最適に差配することで、最大限の救護を目指す。
- keyword
- 首都直下地震
- 震度5強
- 災害医療
- 災害医療コーディネーター
首都直下地震への備え 課題と対策の他の記事
- 状況に応じ医療資源を最適に振り分ける
- 震動検知と自動遮断が機能しガスの被害ゼロ
- 漏水23カ所を一夜で止めた緊急対応体制
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/15
-
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
-
-
-
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方