2013/10/28
ニュープロダクツ
連結構造で安定性と効率性高める
新素材の開発などを手掛ける株式会社カワハラ技研(東京都中央区)は、放射線に汚染された土や汚泥などの廃棄物を収容する特殊構造の容器「デコポッド」を開発している。
同社によると、現在主流となっているフレコンバッグと呼ばれるポリエチレンやポリプロピレンといった化学繊維製の大型の袋を用いた保管方法では、数が増えるごとに処理が困難になってしまう。袋状であることから完全な密閉ができず、中の収容物が発酵するなど形が崩れてしまい積み上げが難しく、汚泥などが浸透して徐々に液漏れが起き、保管所そのものの放射性汚染度が高くなるホットスポットと呼ばれる事態も起きやすい。そのため一度集めたフレコンバッグの移動は時間が経つごとに困難になり、作業員の被曝量もそれに伴って大きくなるリスクがあるという。
こうした課題を解決するために同社が開発しているのがオーステナイトと呼ばれるステンレスの一種で作られた六角形の収容容器「デコポッド」だ。
本体そのものが金属製のため、従来のフレコンバッグに比べ16%以上放射線を抑えることができる。六角形の形状に加え、表面に凹凸を施すことで複数のデコポッドを密着して連結できるので、従来製品より大幅に省スペースが図れるのが最大の特長だ。安定性の高い構造は作業の効率化につながり、安全性向上にも貢献する。現段階では、上3段まで積み重ねることができるという。
環境省では除染物等工事共通仕様書にて、放射性汚染物の収容容器については耐候性試験900時間(屋外条件で3年程度に当たるとされる)をクリアしなければならないと定めている。条件によって左右されるが、同製品は10年~30年の長期間の使用に耐えられるという。オプションで、放射線を遮断する同社が開発した独自素材によるインナーケースを取り付けることも可能だ。
デコポッドは収容物の種類と汚染度別に計5種類を用意。価格は未定だが、福島第一原発による放射性汚染物を抱える東京電力や政府、自治体などの受注を見込み、購入しやすい価格帯を目指している。
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/e/6/670m/img_e6bf44f4a950d79bfd4f9de69e996a8f669590.png)
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方