2014/03/13
ニュープロダクツ
災害時にスマート端末から被災状況を直ぐに把握
危機管理とBCPの専門誌を発行するリスク対策.com(株式会社新建新聞社)と株式会社TDモバイルは、クラウドを活用した監視カメラの販売をこのほど開始した。インターネット経由のいわゆるネットワークカメラで、撮影した映像や音声をスマートフォンやタブレットなどのスマート端末から視聴できる。従来のネットワークカメラは、通信負荷が重く、アクセス数が増えると視聴環境が悪化したり、長時間の常時監視では途中で映像が途切れるなどの課題があった。クラウド監視カメラは独自技術の強固なサーバーによりこうした課題を解決。映像は7日分が常時クラウド上で録画されているため、ストレージが不要で、仮に停電などにより回線が切断しても直前までの状況が直ちに端末上で確認できる。通常のセキュリティカメラとしての活用のほか、災害時の被災状況の確認や、道路・河川の監視など、防災や危機管理、BCP(事業継続計画)などに役立てることができる。
災害時に必要なのは被災状況の把握
災害時には、自社物件や周辺の被災状況を迅速に把握することが求められる。しかし、過去の災害では、製造業において「夜間で工場に従業員が不在で内部の様子が長時間わからなかった」「化学薬品などを使っているため危険で内部に入れず工場内の様子が把握できなかった」などの課題が発生したり、建設業においては「施工中物件の安全確認をしたくても人員の不足などにより、確認までかなりの時間を要した」などの課題が報告されている。東日本大震災においても電話回線の輻湊などにより被災地の工場と連絡がとれず、本社側から支社や工場の状況が数日間確認できないといった問題が多数指摘された。
こうしたことから、リスク対策.comとTDモバイルでは、仮に通信が途絶しても直前の状況が即座に把握できるシステムについて検討を重ね、クラウドサービス事業を展開する株式会社Ciaoの技術提供を受け「災害時にも役立つクラウド型監視カメラ」を開発した。
クラウド型監視カメラは、ID・パスワードによりアクセスを管理。セキュリティを満たした上で「強固なサーバーにより、数百人が同時アクセスも可能」(Ciao開発担当者)なため、数人だけが視聴するクローズ環境から、公共空間などで不特定多数に公開するオープン環境まで幅広い用途で活用ができる。さらに、クラウド上での常時録画により、カメラサイトごとに、過去の映像を確認・ダウンロードできるため、災害発生後に通信が途絶した場合、その直前状況をもとに対応を検討することが可能になる。
TDモバイル担当者は「レコーダー型のネットワークカメラの多くは、現地にレコーダーを設置するが、これでは災害時に同時被災する可能性がある。クラウド型は仮に現地が被災してもデータはクラウド上で管理されているため映像が残る」とシステムの優位性を語る。レコーダーが不要のためイニシャルコストが大幅に下げられるメリットもある。
映像は、パソコンでも視聴が可能で、音声にも対応(オプション)。災害対策本部でプロジェクターにつないでスクリーンに映し出すことで、対策本部全員がリアルタイムで被災地の状況を共有できる。
カメラは、上下左右、ズーム(最大8倍)などの操作が可能で、録画映像は画面キャプチャごと再生、巻き戻しができる。画像サイズは640×480VGAで、フレームプレートは標準が1fps。用途に応じて増強が可能で、必要回線速度は常時上り400kbps×カメラ台数。インターネット環境が整っていることが条件。Wi-Fiでも接続が可能だ。
カメラ本体はパナソニックのBB-SW174シリーズを推奨(本体価格約8万円)、屋外使用ではハウジング処理により防水・防塵性を高めることもできる。
利用料金は、カメラ本体価格+月々の利用料が1台あたり5000円(カメラ設置費用はユーザー負担)となっている。
従来のネットワークカメラは、通信負荷が重過ぎるため、常時監視に適しておりませんでした。
クラウド監視カメラは、独自技術と強固なサーバーにより、この問題を解決。快適に鮮明な映像を閲覧可能です。
【仕様】
カメラ台数/ID | 1台~ |
監視時間 | 24時間365日 |
録画保存期間 | 7日間 |
画像サイズ | 640×480pixel(VGAサイズ) |
フレームレート | 1fps~(応相談) |
必要回線速度 | 常時上り400kbps×カメラ台数 |
通信環境 | インターネット越しにhttp通信が可能であること |
サービス対応環境 (OS、ブラウザ) |
携帯:iOS6.1以上、AndroidOS4.1以上(※1) PC:WindowsXP/7以上、MacOS10.7以上 ブラウザー:Safari、Internet Explorer9.0以上、Google Chrome、Firefox(※2) |
※1 端末によっては条件を満たしても正常作動しない場合がございます
※2 過去映像の閲覧にはQuick Time Playerのインストールが必要です
【お問合せ/販売窓口】
リスク対策.com(株式会社 新建新聞社内) TEL 03-3556-5525
〒102-0094東京都千代田区紀尾井町3-27明治薬科大学剛堂会館5F
総販売元:(株)TDモバイル サービス提供元:(株)Ciao
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
最後に駆け込める場所をまちの至るところに
建築・不動産の小野田産業は地震や津波、洪水、噴火などの自然災害から命を守る防災シェルターを開発、普及に向けて取り組んでいます。軽くて水に浮くという特色から、特に津波避難用での引き合いが増加中。噴火用途についても、今夏には噴石に対する要求基準をクリアする考えです。小野田良作社長に開発の経緯と思いを聞きました。
2022/05/18
-
新しいISO規格:ISO31030:2021(トラベルリスクマネジメント)解説セミナー
国際標準化機構(ISO)は2021年9月、組織向けの渡航リスク管理の指針となる「ISO31030:2021トラベルリスクマネジメント」を発行しました。企業がどのようにして渡航リスク管理をおこなったらよいか、そのポイントがまとめられています。同規格の作成にあたって医療・セキュリティの面から専門的な知識を提供したインターナショナルSOS社の専門家を講師に招き、ISO31030:2021に具体的に何が書かれているのか、また組織はどのようなポイントに留意して渡航リスク管理対策を講じていく必要があるのかなど、具体例も交えながら解説していただきました。2022年5月17日開催
2022/05/18
-
BCPは災害で役に立たない?
今号から、何回かに分け、内閣府「令和3年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」の結果を解説するとともに、防災・BCPの課題を明らかにしていきたい。第1回は、BCPの見直し頻度と過去の災害における役立ち度合いについて取り上げる。
2022/05/18
-
政府調査 BCP策定率頭打ち
内閣府は5月18日、令和3年度における「企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」についての結果を発表した。それによると、大企業のBCPの策定状況は、策定済みが前回の令和頑年度から2.4%伸び70.8%に。逆に策定中は0.7%減り14.3%で、策定済と策定中を合わせた割合は前回とほぼ同じ85.1%となった。政府では2020年までに大企業でのBCP策定率について100%を目標としてきたが頭打ち状態となっている。中堅企業は、策定済みが40.2%(前回34.4%)、策定中が11.7%(前回18.5)%で、策定と策定中を足した割合は前回を下回った。
2022/05/18
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2022/05/17
-
-
-
SDGsとBCP/BCMを一体的にまわす手法~社員が創り出す企業のみらい~
持続可能な会社の実現に向けて取り組むべきことをSDGsにもとづいてバックキャスティングし、BCP/BCMを紐づけて一体的に推進する、総合印刷サービスを手がける株式会社マルワ。その取り組みを同社の鳥原久資社長に紹介していただきました。2022年5月10日開催。
2022/05/12
-
企業が富士山噴火に備えなければならない理由
もし富士山が前回の宝永噴火と同じ規模で噴火したら、何が起きるのか? 溶岩や噴石はどこまで及び、降灰は首都圏にどのような影響を及ぼすのか? また、南海トラフ地震との連動はあるのか? 山梨県富士山科学研究所所長、東京大学名誉教授で、ハザードマップや避難計画の検討委員長も務める藤井敏嗣氏に解説いただいた。
2022/05/11
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方