高齢者・障がい者の被災や災害関連死の増加が課題となっている(写真:写真AC)

令和4年5月20日、二之湯防災担当大臣は記者会見で次のように述べた。

「被災者支援のあり方検討会」について申し上げます。昨日19日に第1回の検討会を開催しました。この検討会は、近年、被災者のニーズの多様化、コロナ禍における避難所運営の変化など、被災者支援のあり方が変わってきており、より効率的で質の高い被災者支援について、中長期的に検討することを目的とするものです。

第1回検討会では、民間団体などの行政以外が関わる仕組み、災害ケースマネジメント、福祉との連携等の課題について、実際に現場をよく知る有識者や団体、自治体等の方々に活発なご議論をいただきました。頂いた課題については、次回以降の検討会でさらに議論を深め、実現可能なものから実行に移してまいりたいと考えています。

この検討会はその後、6月1日、6月29日に続いて開かれ、今後は9月に開催される予定だ。私は検討会の座長を仰せつかっているので、私自身の問題意識を報告したい。

1.脆弱化した地域社会

災害被害の方程式は「自然の外力」×「人口(暴露量)」×「社会の脆弱性」で決まるが、近年、社会の脆弱性が著しく高まっている。その理由は、大きく3点ある。

一つは高齢化の進展だ。1995年から2000年の25年間で、75歳以上高齢者は2.6倍、高齢単身者は3.2倍に増加した。障がい者手帳取得者も6割以上増加し、難病患者は3.26倍になった。これは、自助が困難な人々が激増したことを示している。

高齢化、コミュニティの減衰、自治体職員の減少と、社会が脆弱化し、自助・共助・公助いずれも限界が見えている(写真:写真AC)

二番目はコミュニティのつながりが弱くなったことだ。平成19年(2007年)版国民白書によれば、1997年には近所と親しく付き合っている人は4割を超えていたが、2007年には1割強に減少した。1968年には町内会自治会活動に毎回参加する人は町村部で7割、都市部でも5割いたが、2007年には1割強に低下した。消防団員も最も多い時期には200万人いたが、現在では80万人程度に減少した。したがって、共助の力も著しく弱まっている。

三番目は、自治体職員数の減少だ。職員は2006年に328万人いたが、2021年には274万人となり、54万人、16.5%減少した。これは、人数的に公助の力が弱まったことを示している。