ニチコン株式会社は、太陽光発電設備で発電した電力を直流/交流変換を介することなく高効率で電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV) に充電し、災害などによる停電時には、蓄電池やEV・PHVに貯めていた電力を非常用電源として活用できる「DCリンク型産業用蓄電システム」の販売に力を入れている。

夏に続き、今冬も電力のひっ迫が予想されているが、再生可能エネルギーと蓄電池システムを用いることで、節電だけでなく、経済効果、防災、エコロジーの効果を同時に得られるのが最大の特長。電力使用量の多い企業においては、通常時は電力のピークシフト、ピークカットを行うことで、商用電力の使用量を抑え、電気料金の削減を図ることも可能になる。

電力の使用量の削減と、ガソリン車からEV・PHVへの切り替えが進めばCO2排出量を削減でき、企業イメージの向上にもつながる。
 

ピークカット・ピークシフトのイメージ
 
システムは、今年6月に発売。EV用の充放電器(V2X)と直流(DC)でつながる DC リンク型産業用蓄電システムから構成する。

蓄電池の性能は業界最高水準の充放電サイクル(2万回)を誇る。発煙・発火の可能性が極めて低いチタン酸リチウムイオン電池を採用しているため高い安全性を実現した。また、蓄電率は0~100%の範囲で電池を無駄なく使用できるという。

太陽電池・定置用蓄電池・車載蓄電池間は、エネルギーロスの少ない直流給電が可能で、蓄電システム-EV・PHV間で交流給電に比べて最大7%の効率改善が期待される。本システムの導入に際しては、環境省補助金を適用することも可能だという。

 

【主な特長】
・20kW のハイブリッドパワーコンディショナを搭載し、各社の太陽光パネルと直接接続が可能。
・標準 29.8kWh の蓄電池を搭載。施設の規模に合わせて、計 104.3kWh まで増設が可能(14.9kWh 単位)。
・太陽電池、定置用蓄電池、車載蓄電池の間でエネルギーロスの少ない直流給電が可能。蓄電システム-EV・PHV 間で、交流給電に比べて最大 7%の効率改善。
・車載蓄電池から三相・単相特定負荷に給電可能。EV・PHV を蓄電池として活用することで、停電時に長時間の給電が実現。
・蓄電システム 1 台に対して V2X は 3 台まで接続可能。
・使用環境や要望に合わせて 10/20kVA のスコットトランスを選択、接続盤内に内蔵が可能。
・環境省の「平時の省 CO2 と災害時避難施設を両立する直流による建物間融通支援事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)※1」の対象設備※2。

※1 令和 2 年度~6 年度の実施が予定されている。補助金の名称・内容・実施期間等は変更となる可能性がある。
※2 補助対象とするためには、蓄電システムと V2X を事業所内の複数建物間に渡って設置する必要がある。