日本大学危機管理学部のキャンパスで行われたCBRN訓練

学物質によるテロを想定した「CBRN」訓練が6日、東京都世田谷区の日本大学危機管理学部で行われた。同学部の学生有志15人でつくる「NBCテロ災害対処研究会」が企画したもので、消防、警察、自衛隊が協力。キャンパス内でのイベント開催中に猛毒な化学物質が散布されたとの想定のもと、活動区域の設定(ゾーニング)、化学物質の検知、救助・救出、検体の採取、除染など一連の流れを各部隊が披露した。 

CBRNとは、化学(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)の頭文字をとったもので、これらを用いて行われるテロはCBRNテロと呼ばれる。「R」を除いてNBCテロと呼ばれることもある。国内では、1995年の地下鉄サリン事件が有名だが、CBRNテロは、使用される有害物質の特性に応じて、通常の兵器では考えられないような甚大な被害を与える可能性がある。

今回の訓練は、一般市民への公開することを前提にしたもので、学園祭における「訓練展示」として行われた。NBCテロ災害対処研究会代表の野口雅葵さん(3年生)によると、準備を開始したのは昨年11月にまで遡る。「過去には教授らが中心となって同様の訓練が開催されたことがあるが、コロナ禍でこうした訓練を実際に見る機会がなくなり、自分たちで復活させることにした」とする。研究会のメンバーは危機管理学部の1年から3年の男性6人、女性9人の計15人で、まず企画書をつくり、手分けをして消防や警察、自衛隊に協力を呼びかけてきた。こうした結果、今回の訓練には、東京消防庁からは世田谷消防署と消防救助機動部隊、警視庁からは世田谷警察署と第8機動隊、陸上自衛隊からは陸上総隊中央特殊武器防護隊の、延べ約40人が参加することになったという。今年9月には各機関の担当者に集まってもらい調整会議を実施した。

訓練は、午後1時に学生ら数名が突然床に倒れ込むシーンからスタートした。まず、防護服に身を包んだ消防隊員が現場に駆け付け活動区域の設定とともに化学物質(サリン)を検知して負傷者を救出。その後、警察の部隊が検体を採取し、最後に自衛隊が汚染された箇所すべてを除染した。現場は多くの見学者で賑わい、訓練中は、防護服や隊員が身に付けている装着品、さらに各活動の注意点までが細かく丁寧に解説された。

野口さんは「準備は大変だったが、自分たちもこうした訓練を実際に見る機会はないのでとても勉強になった」と話している。

 

□徹底解説 CBRN 身近にある危険
https://www.risktaisaku.com/articles/-/2049