2022/11/06
防災・危機管理ニュース
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/9/7/670m/img_97853eb7c2709eb8aac14b46dfb403dd495811.jpg)
学物質によるテロを想定した「CBRN」訓練が6日、東京都世田谷区の日本大学危機管理学部で行われた。同学部の学生有志15人でつくる「NBCテロ災害対処研究会」が企画したもので、消防、警察、自衛隊が協力。キャンパス内でのイベント開催中に猛毒な化学物質が散布されたとの想定のもと、活動区域の設定(ゾーニング)、化学物質の検知、救助・救出、検体の採取、除染など一連の流れを各部隊が披露した。
CBRNとは、化学(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)の頭文字をとったもので、これらを用いて行われるテロはCBRNテロと呼ばれる。「R」を除いてNBCテロと呼ばれることもある。国内では、1995年の地下鉄サリン事件が有名だが、CBRNテロは、使用される有害物質の特性に応じて、通常の兵器では考えられないような甚大な被害を与える可能性がある。
今回の訓練は、一般市民への公開することを前提にしたもので、学園祭における「訓練展示」として行われた。NBCテロ災害対処研究会代表の野口雅葵さん(3年生)によると、準備を開始したのは昨年11月にまで遡る。「過去には教授らが中心となって同様の訓練が開催されたことがあるが、コロナ禍でこうした訓練を実際に見る機会がなくなり、自分たちで復活させることにした」とする。研究会のメンバーは危機管理学部の1年から3年の男性6人、女性9人の計15人で、まず企画書をつくり、手分けをして消防や警察、自衛隊に協力を呼びかけてきた。こうした結果、今回の訓練には、東京消防庁からは世田谷消防署と消防救助機動部隊、警視庁からは世田谷警察署と第8機動隊、陸上自衛隊からは陸上総隊中央特殊武器防護隊の、延べ約40人が参加することになったという。今年9月には各機関の担当者に集まってもらい調整会議を実施した。
訓練は、午後1時に学生ら数名が突然床に倒れ込むシーンからスタートした。まず、防護服に身を包んだ消防隊員が現場に駆け付け活動区域の設定とともに化学物質(サリン)を検知して負傷者を救出。その後、警察の部隊が検体を採取し、最後に自衛隊が汚染された箇所すべてを除染した。現場は多くの見学者で賑わい、訓練中は、防護服や隊員が身に付けている装着品、さらに各活動の注意点までが細かく丁寧に解説された。
野口さんは「準備は大変だったが、自分たちもこうした訓練を実際に見る機会はないのでとても勉強になった」と話している。
□徹底解説 CBRN 身近にある危険
https://www.risktaisaku.com/articles/-/2049
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方