2023/05/08
防災・危機管理ニュース

内閣官房国土強靭化推進室はこのほど、令和5年4月時点における国土強靱化の民間の取組事例集を公表した。平成27年より国土強靱化に関して先導的な取組を収集し、これまでに705事例を「国土強靱化 民間の取組事例集」として公表しており、今回は国土強靱化に関して先導的な取組51事例を掲載した。事例は「初動体制の構築」「顧客の生活を支える」「普及啓発・人材育成」など7つのテーマごとに整理して掲載した。先導的な取組の概要、新たに取組を行うにあたって参考となる工夫や苦労した点、平時の活用方法のほか、防災以外の効果などの情報を得ることができる。
国土強靭化については、基本計画が今年夏に改定される見通しで、政府は4月7日に開催した国土強靭化推進本部(本部長・岸田文雄首相)で、新たに改定する国土強靭化基本計画骨子案を了承している。
次期基本計画では、「人命の保護」「国家・社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持される」「国民の財産および公共施設に係る被害の最小化」「迅速な復旧復興」の四つの基本目標を設定し、取り組み全体に対する基本的な方針を定めて取り組みを推進する。
基本的な方針としては、従来の「国民の生命と財産を守る防災インフラ(河川・ダム、砂防・治山、海岸など)の整備・管理」「経済発展の基盤となる交通・通信・エネルギーなどライフラインの強靱化」「災害時における事業継続性確保をはじめとした官民連携強化」と、新たに「デジタルなど新技術の活用による国土強靱化施策の高度化」「地域における防災力の一層の強化(地域力の発揮)」を加えた5本柱とする。
このうち、「災害時における事業継続性確保をはじめとした官民連携強化」では、サプライチェーンの強靱化も含め、災害が発生しても民間経済活動が継続できるよう官民の連携を図る方針のもと、①国内におけるサプライチェーンの複線化や工場等の分散など災害等に強い産業構造、②民間所有の施設でも早期に強靱な構造物へ補強可能な支援、③民間施設においても適切な情報伝達と早期避難が可能な支援、④非常電源設備をはじめ民間施設のライフライン確保へ支援、⑤防災投資や民間資金活用、公共性の高い民間インフラの維持管理など官民連携の強化、⑥企業体としての社員に対する防災教育の充実、⑦医療の事業継続性確保の支援、⑧大規模災害時における遺体の埋火葬の実施体制の確保、の具体策が盛り込まれた。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/16
-
-
ラストワンマイル問題をドローンで解決へBCPの開拓領域に挑む
2025年4月、全国の医療・福祉施設を中心に給食サービスを展開する富士産業株式会社(東京都港区)が、被災地における「ラストワンマイル問題」の解消に向けドローン活用の取り組みを始めた。「食事」は生命活動のインフラであり、非常時においてはより一層重要性が高まる。
2025/09/15
-
-
機能する災害対応の仕組みと態勢を人中心に探究
防災・BCP教育やコンサルティングを行うベンチャー企業のYTCらぼ。NTTグループで企業の災害対応リーダーの育成に携わってきた藤田幸憲氏が独立、起業しました。人と組織をゆるやかにつなげ、互いの情報や知見を共有しながら、いざというとき機能する災害対応態勢を探究する同社の理念、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/09/14
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/09/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方