フリーランス新法とはどのような法律か(イメージ:写真AC)

はじめに

近時、企業などの組織に属さずフリーランスとして働くというあり方が注目を集めています。

2019年から2020年にかけて国の各機関(内閣官房、内閣府、中小企業庁、厚生労働省)により調査された我が国におけるフリーランス人口については、その定義等が異なることなどにも起因してバラつきがありますが、最少で341万人(内閣府)であり、最大で472万人(中小企業庁)という結果が示されており、フリーランスという働き方は我が国の経済社会において不可欠のものになっているといえます。

フリーランスは、自己の判断・裁量で業務を遂行することができる自由さがある反面、委託者たる企業等との関係で、個人として弱い立場に置かれ、さまざまな不利益を被っている面があると問題提起されていました。

フリーランスはなくてはならない存在になっているが、その契約や待遇については既存の法律では十分な対応が困難(イメージ:写真AC)

フリーランスを巡って生じている契約や待遇等に関する諸問題については、フリーランスが「労働者」として労働契約法、労働基準法、労働組合法等の各種労働法規により保護されるのが難しい面があるといった事情があるため(ただし、個別具体的な事情次第では、労働者性が認められ、各種労働法規が適用される場合があります)、既存の法律では十分に対応することが困難であると指摘されてきました。

そこで、我が国の経済社会の発展のためにも、不可欠の存在であるフリーランスという働き方を安定的なものとすることが必要であると考えられ、いわゆるフリーランス新法が提案され、本年4月28日に参議院本会議で可決され、成立しました。

ここでは、そのフリーランス新法の概要等についてご説明します。

法律名・趣旨等

報道等では、フリーランス新法、フリーランス保護法、フリーランス保護新法等と呼ばれていますが、正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。

同法の目的は「我が国における働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に業務委託をする事業者について、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずることにより、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与すること」(1条)とされています。

そして、2条に法律で用いられている文言の定義規定が置かれています。主要なものとしては、次の表のとおりとなります。

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