株主総会決議を争う訴え
不存在確認の訴え、無効確認の訴え、取消しの訴え
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2024/07/04
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
定時株主総会が集中して開催されるとされる6月が終わりました。担当者だった方々は、ほっと一息をついていらっしゃるかもしれません。
一方、株主総会の開催に係る手続等で、残念ながらうまくいかなかったところがあり、株主総会決議が争われるかもしれないと不安に感じている方々もいらっしゃるかもしれません。また、株主として、株主総会の手続や内容に納得がいかないところがあり、株主総会決議を争いたいと考えている株主の方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、株主総会決議を争う訴えについて、ご説明したいと思います。なお、株主総会の意義、機能等については、前回の記事をお読みください。
会社法は、株主総会決議を争う訴えとして、株主総会決議不存在確認の訴え(830条1項。以下「不存在確認の訴え」)、株主総会決議無効確認の訴え(830条2項。以下「無効確認の訴え」)、株主総会決議取消しの訴え(831条1項。以下「取消しの訴え」)という3つの訴えを用意しています。
不存在確認の訴えと無効確認の訴えは、その名のとおり、訴えの類型のうち、確認の訴えといわれるものです。株主総会決議の不存在や無効については、当該訴えに拠らずとも主張できるものですが、政策的な観点から法定されています。このため、株主総会決議の不存在や無効を主張するのに、不存在確認の訴えや無効確認の訴えを利用するかは、当事者の判断に委ねられています。
これに対し、取消しの訴えは、訴えの類型のうち、形成の訴えといわれるものです。形成の訴えとは、形成原因(この場合には、決議取消事由)の存在を主張して、法律関係の変動をもたらす裁判を求めるもので、訴えを認容する判決により、初めて法律関係の変動が認められることになります。つまり、株主総会決議の取消しについては、この訴えに拠るしかなく、この点が、不存在確認の訴えや無効確認の訴えと異なるものです。
おすすめ記事
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/04/05
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/03/31
ドンロー主義の顕在化に揺れる世界
アメリカとイスラエルが2月28日、イランへ大規模な軍事作戦を開始。イランは徹底抗戦する構えで、中東全体を巻き込む紛争に発展しました。早期停戦が待たれるも、長期化の可能性も依然濃厚。アメリカ政治に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏に、トランプ政権の思惑と今後の軍事行動に影響を与える要因を聞きました。(インタビューは3月16日)
2026/03/30
引き合い急増する「セキュリティソムリエ」
ソフトバンクのグループ企業でIT商社のSB C&Sは2021年から、サイバーセキュリティ市場の多様化に対応するため販売パートナーへの支援活動を展開。商社の情報力・目利き力を生かしてSIerやベンダーの提案力を補強し、その先のユーザー企業へ最適なソリューションを届けています。「セキュリティソムリエ」と銘打った活動のねらいを聞きました。
2026/03/30
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方