2023/12/07
防災・危機管理ニュース

リスク・セキュリティコンサルティングで世界34拠点、178か国でのサービスを提供するコントロール・リスクス(本社:英国)が、12月1日に「リスクマップ2024」の日本語版を公表した。あわせて企業と組織が2024年に注視すべき5つのトップリスクも提示した。トップリスクは以下になる。
①「世界の再編成:グローバルに行動し、ローカルで生き残る」
地政学的な競争に対応する立ち位置の選択とローカリゼーションの2つメガトレンドに大きく影響を受けると指摘。いずれもリスクと機会をもたすため、地政学的な変化の先取りや事業ペレーションを地域にあわせて最適化できるかどうかが成功の鍵。またローカリゼーション規制によって企業と組織は、事業運営とサプライチェーンの再設計を余儀なくされるとした。
②「揺らぐ米国政治と中国経済」
大統領選挙が実施される米国にとって、選挙の結果によらず「より多極化する世界において米国はどのような役割を果たすのか」という問いが残り続ける。ゆえに、政策の優先順位が大きく変化するかもしれない。経済の持続的な回復は見込めない中国は、国内課題を優先するとはいえ台湾総統選挙があるため、経済の舵取りが読めない。2つの不透明な先行きを重大なリスクとした。
③「気候変動」
2024年は、気候変動による深刻な気象現象が、他の重大な自然現象と重なることが頻繁に起こると予想。対策に向けたインフラ整備と技術変革を民間部門が担うことになる。気候関連情報開示に関しては要件を調和させる試みが進みつつあるが、脱炭素化に向けた世界的なアーキテクチャは不完全で一貫性がないと指摘。「現実主義」と「先見性」のバランスをとる難しい決断が迫られる年になるとした。
④「信頼の崩壊:完全性のほつれ」
ここで指摘する信頼と完全性は、データとシステム、テクノロジーに向けられている。AIを活用したAIを標的とするサイバー攻撃、デジタルサプライチェーンへの依存度が高まるほど不明瞭になる責任の所在、素早い世界各国からの規制などによって、テクノロジーやデータの完全性を守ることが一層難しくなるとした。
⑤「過重なリスク管理:危機の蔓延」
経済的な圧力と異常気象が負のループの要因となり、各国選挙の混乱、国家の脆弱性、紛争、サイバー攻撃、デジタルリスク、物理的なリスク、地政学的な世界の再編成、規制の急増など数々の混乱を招くと指摘。リスク管理の過負荷は避けられないとした。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方