2013/06/12
防災・危機管理ニュース
2.事業継続の観点から見た必要性
これまでの震災においては、生産設備やユーティリティ設備の被害が事業継続や早期復旧のボトルネックとなるケースが見受けられた。図1によれば、製造業においては事業再開のボトルネックを「建屋の被災」、「生産設備の被災」と回答した企業が多い。東日本大震災以降、製造業においては代替生産体制検討の機運が高まっている。しかし、投資規模に対して得られる効果が小さい、コスト増につながる等の理由から、代替生産体制を確保するよりも防災・減災対策を推進する方が有効であるとの経営判断の下で、生産工場の施設・設備の耐震化を強化する傾向にある。
非製造業では、事業再開のボトルネックを「建屋の被災」、「ライフラインの被災」と回答した企業が多い。
ライフラインの復旧よりもユーティリティ設備の復旧が長期化すると、電気・水・空調などが使用できず、事業継続に影響を及ぼす可能性がある。よってライフラインの復旧とほぼ同時に事業再開を果たすために、ユーティリティ設備の耐震化が求められる。
※3 「東日本大震災における被害実態と地震対策効果に関するアンケート調査結果 2012年5月7日 NKSJリスクマネジメント㈱」 一部加筆
3.耐震対策が十分でない事例と対策
当社はこれまで生産工場、オフィスビル、店舗、病院など、さまざまな施設において設備耐震診断サービスを行ってきた。ここでは、「よく見受けられる耐震対策が十分でない事例」や「見落としがちな対策」を紹介するとともに、それらに対する対策案を述べる。
3.1.アンカーボルトが打込み不足となっている事例
【事例の概要】
あと施工アンカー(芯棒打込み式)を用いて設備の固定対策を実施したが、アンカーボルトの打込みが十分でない事例である(写真1)。あと施工アンカーは、図2に示すように「コンクリートの穿孔(せんこう)」→「孔内の清掃」→「アンカー打込み」の手順で施工される。アンカーボルトの打込み不足が生じる原因として、「穿孔後の孔内の清掃が十分でない」「アンカーボルトがコンクリートスラブの鉄筋に接触して埋め込み深さが不足する」などが挙げられる。
この状態で大規模地震が発生した場合、アンカーボルトが引抜かれ、設備が移動・転倒する可能性がある。
【対策案】
アンカーボルトの打込み不足を避けるため、以下のような対策を推奨する。
・穿孔後の孔内の清掃を十分に行ってからアンカーボルトを打込む
・鉄筋位置の探査を行い、鉄筋が配置されていない箇所にアンカーボルトを打込む
※4 建築設備耐震設計・施工指針 2005年度版((財)日本建築センター)に当社で一部加筆
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