パナソニックEW社 (提供:パナソニックEW社)

電気設備を製造・販売するパナソニックエレクトリックワークス社(大阪府門真市、大瀧清社長)は、発災時にも製品の製造を止めないサプライチェーンリスクマネジメントに取り組んでいる。重要な製品や部品を整理し、メーカーや製造拠点の詳細な情報まで把握。代替情報を加え、動き出しのスピードアップを実現した。元日に発生した能登半島地震でも素早く対応し、製品製造に大きな影響はなかった。

3つのポイント
❶サプライチェーンの情報を全社的に一括管理
・製品や部品のデータベースを構築し、発災時に影響を受ける製品や部品を素早く把握する。
❷発災時に必要な情報を、迅速に抽出できる環境を整える
・優先すべき製品を決めることでデータベース内の登録データを減らし、一般的なパソコンで利用できるシステムにする。
❸部品の供給停止を視野に入れ、代替手段の情報までを登録
・代替手段の確保で対策を先行できる。

未曾有の供給停止

照明や配線器具など、パナソニックの原点である電気設備を製造・販売するパナソニックエレクトリックワークス社(パナソニックEW社)。同社調達センター所長でサプライチェーン戦略部部長を兼任する森下賢治氏は「パナソニックEW社は生活に密着して欠かすことのできない製品を生産し、社会インフラとしての役割を担っています。生産停止に直結するサプライチェーンの途切れを生じさせていけない」と話す。

同社が各生産拠点に委ねていたサプライチェーンマネジメント(SCM)を一新し、全社的に取り組むきっかけになったのは、2020年に起きたサプライヤーの火災事故。中枢部品の供給が停止し、製品製造に大きな打撃を受けた。森下氏は「調達史上、未曾有の大事故だった」と語る。

そこで、当時のエナジーシステム事業部(現:電材&くらしエネルギー事業部)でSCM体制の確立が急務となり、2021年、事業部内にリスクマネジメント推進室を立ち上げた。

着手したのは、各生産拠点が発注している部品などのデータベース整理。推進室を設置する前の準備段階から取り組んだ。部品の発注先である商社だけでなく、部品メーカーとその製造拠点の住所までも登録。理由は、発災時にどのメーカーのどの拠点で、どの部品の生産が止まり、どの自社製品が影響を受けるかを素早く突き止め、対策に動き出すためだ。

データベースの整理を進め、活用するシステムまでを構築。推進室の発足2カ月後には運用を開始した。2021年末にはライティング事業部などを含めたパナソニックEW社の全社的なプロジェクトに発展し、データの拡充を進めた。

昨年4月にはプロジェクトの推進と並行して、サプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)の専任部署を、各事業部の調達部門が集まる調達センター内に新設。サプライチェーン戦略部リスクマネジメント推進課がスタートした。