液状化について説明する新潟大学の保坂吉則助教

能登半島地震では、震源地から離れた新潟県新潟市で震度5強を記録した。新潟市の被害で顕著だったのが液状化だ。砂の吹き出した痕跡がそこかしこに見られ、地面の陥没、盛り上がりが多数発生。多くの住宅が影響を受けた。液状化を専門とする新潟大学助教の保坂吉則氏に新潟市の液状化について聞いた。

(液状化による噴砂、隆起、陥没が多発する新潟市西区の県道16号沿い。右下は新潟西郵便局の駐車場)

地下水位の高い砂地で高リスク

――新潟市内の液状化の状況は。
新潟市西区の2カ所で液状化が集中している。一つは信濃川沿いの善久地区周辺の広いエリアで新潟大橋や北陸道の黒埼インターチェンジの近くだ。もう一つは砂丘地域の被害。新潟大学は砂丘の上にあるが、砂丘斜面の下に沿って通る県道16号周辺で液状化が起こった。特に越後線の寺尾駅周辺の被害が大きい。

――善久地区の被害の特徴は。
善久地区を含むときめき西から鳥原までのエリアは、信濃川の旧河道部が明治以降水田化して、その後埋め立てか造成によって整備された上に住宅が建築された場所。周囲より標高が低く地下水の水位が高い。そこに地震の強い揺れが加わり、液状化したと考えられる。

液状化を起こす主な要因は二つ。一つは地盤が砂地。二つに地下水の水位が高い場所。その条件がそろう場所で、地震による強い揺れが加わると液状化が発生する。

―― 善久地区の周辺には湿地帯を埋め立てた水田が広がる。なぜ、善久地区だけで液状化の被害が発生したのか。
周辺の水田地帯は河川氾濫で形成された後背湿地で、主に粘性土が主体で液状化しにくい土質。一方、旧河道部の地盤は緩い砂層が厚く堆積しており、造成盛土下部の液状化も考えられる。

――善久地区より信濃川の河口に近い、新潟市中央区にも同じように埋め立てられた土地がある。なぜそこでは、液状化が起こらなかったのか。
液状化は砂地や地下水の水位だけではなく揺れの強さ、揺れる時間の長さ、砂地の深さ、地盤の硬さなどが影響する。もしかしたら、液状化が起こるほど揺れなかったのかもしれない。今後の調査が待たれる。

――なぜ砂丘の斜面でも液状化が集中したのか。
砂丘の表層は地盤が緩い。ただし、砂丘であっても地下水位より十分高い場所に位置すれば、液状化の可能性が低くなる。例えば、液状化が多発した同じ砂丘の高台に建設された新潟大学では、地震の揺れによる影響はあっても液状化は発生していない。

実は、砂丘の麓に沿っている県道16号線沿いは特に標高が低く、海面より低い場所にある。あまり目立たないが水も湧いている。このような地形条件では地下水の水位が表層に近いために、液状化が起こったと考えられる。このエリアは1964年の新潟地震でも、液状化の被害が非常に大きかった地域だ。

またこの地域では液状化が発端となって、小さいながら地滑りも発生している。「円弧すべり」と呼ぶ、地滑りで流れた土砂が回転するように盛り上がる現象だ。背後が急勾配の宅地で地盤が盛り上がったのは、このメカニズムによると考えている。勾配が緩い箇所では液状化層の上の地盤が水平に動く側方流動的な被害もみられた。

――県道16号線と西川の間を平行に走る幹線道路沿いでは液状化の発生がほぼ見られない。1ブロックしか離れていないのに、なぜか。
ボーリングデータを確認したところ、表層に砂だけはなく粘土が含まれていた。西川の氾濫堆積物で、砂丘地盤との土質の違いによる可能性が高い。