名古屋市、政令指定都市初の防災アプリも開発

名古屋市は3月17日、南海トラフ巨大地震を想定した防災・減災対策促進のため、地震と津波のハザードマップの配布を開始した。津波に関するハザードマップを作成したのは同市で初めて。

昨年8月に内閣府が発表した「南海トラフの巨大地震モデル検討会」の報告を受け、同市では宝永地震(1707年)以降100年~200年間隔で発生している大地震をモデルにした「過去の地震を考慮した最大クラス」と、1000年に1度、あるいはそれよりも発生頻度は低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす大地震を想定した「あらゆる可能性を考慮した最大クラス」の2つのケースを独自に設定し、被害状況を分析した。ハザードマップでは分析した結果を基に液状化の可能性範囲や浸水範囲、浸水開始時間などについて分かりやすく示した。

地震ハザードマップは名古屋市内16区全てを対象にそれぞれ各区版を作成し、2つのケースを想定した震度分布や液状化の可能性のほか、避難所や防災対策情報を盛り込み、対象となる全世帯に約105万部配布する予定だ。地図内には応急給水施設、地下式給水栓や土砂災害危険個所も掲載。市民に事前の避難経路などを確認し、実際に歩いて安全を確かめることを推奨している。

津波ハザードマップは津波が想定される海沿いの地域ごとに「中村・熱田・中川区版」「瑞穂・南・緑区版」「港区版」の3種類を作成した。浸水想定地域を含む学区の約30万世帯に配布する。2つのケースを想定した浸水範囲や、浸水深が30cmに達する浸水開始時間を色分けして示したほか、地図では津波避難ビルの一覧を掲載した。名古屋市で予想される津波は、同市が伊勢湾の奥に位置することから、東日本大震災と異なり白波が起きずに海面全体が上昇することが予想されている。裏面では予想される津波の特徴や海岸線ごとの津波の到達時間帯を記したほか、地震ハザードマップと同じく避難経路の確保や被災時の避難行動などについて詳述している。浸水深を記入するシールも合わせて配布する。津波の到達が予想されるオフィスや住居などに想定される浸水深を書き込み、日常的に見えるところに張ることで日ごろからの防災意識を高めてもらうのが狙い。

24日から、市内の地震防災情報をスマートフォンやタブレット端末で確認できる「名古屋市地震防災アプリ」の無料配信も開始予定だ。衛星利用測位システム(GPS)と連動することで、カメラで写した画面上に周辺の被害想定状況や、現在位置から近い避難所や避難ビルの場所と距離などが表示される。実際に市民が市内を歩いて防災訓練や事前学習ができる。システムは名古屋市消防局が作成。政令指定都市では初の試みだという。

同市消防局防災部防災企画課の成瀬氏は「マップやアプリを使い、家族や地域で災害が起こった時の避難経路や連絡方法について、普段から話し合って防災意識を高めることが重要」と話す。