2024/07/28
防災・危機管理ニュース
【カイロ時事】イスラエル占領地ゴラン高原のサッカー場がロケット弾で攻撃され多数が死傷したことを受け、ネタニヤフ首相は27日、隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに「これまでにない重い代償」を払わせると述べた。ただ、ヒズボラの軍事力はパレスチナのイスラム組織ハマスを上回り、イスラエルは大規模攻撃に対処しきれない可能性があるとの見方もある。
ヒズボラは短距離のロケット弾やミサイルを12万~20万発保有し、予備役も含め戦闘員は約5万人に上るとされる。イスラエルとの大規模衝突に発展すれば、双方は甚大な被害が避けられない。イスラエルがパレスチナ自治区ガザでハマスと戦闘を続ける中、中東地域は一層不安定化する。
米当局者はネットメディア「アクシオス」に、今回のロケット弾攻撃が「(大規模衝突の)引き金になる可能性がある」と警鐘を鳴らした。
イスラエルとハマスが昨年10月にガザで戦闘を開始して以降、ハマスと連携するヒズボラは、イスラエルへの攻撃を継続。イスラエルも応戦し、戦闘は激化している。
ヒズボラはガザでの停戦が実現するまで攻撃を続ける構えで、イスラエルの重要拠点を上空から撮影した映像をたびたび公開し、標的にすることを示唆。イスラエルは「戦争は望んでいないが、その準備はできている」(ガラント国防相)と強気の姿勢で、互いにけん制し緊張が高まっていた。
昨年10月以降、レバノンに隣接するイスラエル北部の住民約6万人が避難生活を余儀なくされており、ネタニヤフ政権にとってヒズボラへの抑止力を高め、住民を帰還させることは至上命令だ。事態打開のためイスラエルが武力行使に踏み切る可能性や、偶発的衝突により情勢が悪化するリスクが指摘されている。
〔写真説明〕イスラム教シーア派組織ヒズボラの兵士=4日、ベイルート(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
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