2024/09/01
防災・危機管理ニュース
損害保険業界で契約者の個人情報の取り扱いに関する法令順守への意識の低さが露呈した。大手4社は30日、情報漏えいに関する調査結果を金融庁に報告。各社によると、代理店から不正に入手した他社の契約者情報は計250万件超に上り、シェア獲得のための営業戦略に利用されていた。相次ぐ不祥事で明らかになった「顧客利益軽視」「営業優先体質」の根深さを印象付けた。
4社は東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。各社は「市場シェアを高め、競合他社に勝つこと自体が目的化していた」(東京海上日動)などと説明した。
代理店に出向した社員は他社の顧客情報を出向元に伝えていた。業界内シェアの確認などが目的だったとし、シェアが低いと「自社に契約を乗り換えさせるため、他社より低い保険料を顧客に提示するケースもあった」(関係者)という。
代理店を兼ねる自動車ディーラーでは「テリトリー制」と呼ばれる商習慣が情報漏れにつながった。各店舗ごとに指定した損保1社の保険を優先的に扱う仕組みで、指定から外れると、代理店経由で入手した他社の顧客情報を利用し営業攻勢をかけた。顧客の契約更新などの事務手続きを損保側に手伝わせるため、情報漏えいが常態化。各社はイベントの手伝いや車の購入など「本業支援」も競い合った。
旧ビッグモーターによる保険金不正請求や企業向け保険料の事前調整など損保業界では不祥事が相次いだ。一連の問題の背景にある「旧態依然とした業界慣行」(損保ジャパン)を改めなければ信頼回復はおぼつかない。
(ニュース提供元:時事通信社)
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