2014/09/03
防災・危機管理ニュース
日弁連シンポジウム

日本弁護士連合会主催のシンポジウム「教訓を活かすために 災害関連死を考える」が9月2日、東京の弁護士会館で開催された。南相馬市の桜井勝延市長は「南相馬市の現況と復興に向けて」と題した基調講演を行い、南相馬市の被害状況を報告した。
6月18日時点の同市の死亡者数は1094人、そのうち震災関連死は458名。年齢別では80代が209人、90代が129人に上ったという。桜井市長は「原発30キロ圏内の病院が使用できなくなり、1300床のベッドをゼロにされた。介護施設である特別養護老人ホームも自ら避難場所を探さなければいけなかった」と、災害関連死が拡大した原因を訴えた。
また、南相馬市の復興を妨げる要因として生産年齢人口(15才~65才)の減少を挙げた。市街避難者を加えた流出人口の約8割が50代以下。放射線への不安から、年少児を持つ若い世代が避難したため急速な高齢化が進んでいるという。桜井氏は「原発事故で家族が分断され、人が減り、あらゆるところでコミュニティが成り立たなくなっている。これでは地域のセキュリティを守るのは困難だ」と復興の難しさを語った。
このほか、基調報告として元南相馬市立総合病院医師の原沢慶太郎氏とNPOさぽーとセンターぴあ代表の青田由幸氏がそれぞれの取り組みを報告した。原沢氏は南相馬市の在宅医療の経験から、避難行為と災害関連死のリスク要因について言及。避難者を支える社会の仕組みの必要性について話した。青田氏は、当時南相馬市から避難できず自宅などに残された高齢者や障害者を支援した経験から、自治体が障がい者の情報を把握し、支援団体と連携することの必要性を訴えた。
パネルディスカッションでは原沢氏、青田氏に加え弁護士の小口幸人氏が参加。小口氏は「災害関連死の問題は、教訓となるだけではなく、現在進行形の問題であるこという認識を共有したい」と、改めて問題の重要性を強調。シンポジウムのコーディネーターを務めた岡本正弁護士は「災害関連死認定のために地方公共団体の審査会が所持する資料は、被災者の命や健康を守るための情報が詰まった貴重な資料だ。国などで分析をして、将来の防災や人命救助に役立てるデータを抽出することが必要」と話している。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/07/14
-
-
AIによるメール監査で悪意なき不正リスクを事前に検知
昨今、企業の不祥事が多発している。不正会計や金銭の着服、独占禁止法で禁止される談合やカルテルなどが発覚することで企業の信用が失墜し、業績悪化にいたるケースが多い。企業の不正を防ぐ方法で有効なのが、社内のメールモニタリング(メール監査)だ。国際訴訟・不正調査のパイオニアであるFRONTEO(東京都港区)は、リーガルテック分野で培ったノウハウから自社開発したAIエンジン「KIBIT(キビット)」をコア技術に、メール監査で企業の不正リスクを検知するサービスを提供する。膨大な量の電子データから、どのように不正を発見し、未然に防ぐのか。代表取締役社長の守本正宏氏に話を聞いた。
2026/07/13
-
-
困難な工場のサイバーセキュリティ強化机上訓練で隠れていた現場力を発掘(参天製薬)
製造業にとって最も避けたい、売上に直結するサイバー攻撃による工場の稼働停止。しかし、セキュリティ対策の導入は工場ならではの困難があり、簡単にはいかない。参天製薬(大阪市北区、伊藤 毅代表取締役社長)は、サプライアーのランサムウェア感染をきっかけに、2017年から国内外の工場のサイバーセキュリティ対策を強化。工場との対話を重ね、着実に進めている。
2026/07/10
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/07/05
-
「情シス任せ」「コンサル任せ」では終わる
社会機能の維持に欠かせない業種でサイバーインシデントが相次いでいます。事業停止の影響は一企業のビジネスの域を超えサプライチェーン全体に波及。いまやセキュリティは経営の重要課題です。企業を取り巻くサイバーリスクと求められる対策について、日立ソリューションズの扇健一氏と辻󠄀敦司氏に聞きました。
2026/07/03
-





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方