2024/11/13
防災・危機管理ニュース
日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の新規制基準への適合性審査について、原子力規制委員会は13日、パブリックコメント(意見公募)を経て不適合とすると正式決定した。焦点となっていた敷地内の断層について、「活断層であることを否定できない」と結論付けた。
規制委は9年近くに及んだ審査を経て、新基準に適合しないとする審査書案を8月に了承。正式決定により敦賀2号機の再稼働は事実上不可能となるが、制度上は再申請が可能で、原電側は追加調査を行って再申請を目指す考えを示している。不適合は2012年の規制委発足後初。
規制委の山中伸介委員長はこの日の記者会見で「大きな判断だった」とした上で、「科学的・技術的な観点から厳正に審査した点においては、これまでの許可判断と何ら変わらない」と述べた。
一方、原電は「大変残念だ。当社として再申請、稼働に向けて取り組んでいく」とコメント。村松衛社長と剱田裕史副社長が役員報酬の50%を2カ月間自主返納すると発表した。
事務方の原子力規制庁によると、30日間で282件の意見が寄せられ、うち67件を審査に関係するものとして取り上げた。地質学的な根拠を求める意見が多かった一方、「新たな科学的知見がない限り再申請を受理すべきではない」との意見もあった。規制委は「再申請があった場合には厳正に審査する」と回答した。
東京電力福島第1原発事故後の13年にできた新規制基準では、活断層の上に原子炉建屋などの設置を認めていない。敦賀2号機の審査では、原子炉建屋近くの「K断層」について、将来動く可能性があるかという「活動性」と、建屋直下の断層とつながっているかの「連続性」が焦点となり、規制委はいずれも「否定できない」と判断。「(新基準に)適合しているとは認められない」とする審査書を取りまとめた。
〔写真説明〕日本原子力発電敦賀原発1号機(左)と2号機(右)=2017年4月20日、福井県敦賀市
〔写真説明〕記者会見で報道陣の質問に答える原子力規制委員会の山中伸介委員長=13日午後、東京都港区
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/03
-
パリ2024のテロ対策期間中の計画を阻止した点では成功
2024年最大のイベントだったパリオリンピック。ロシアのウクライナ侵略や激化する中東情勢など、世界的に不安定な時期での開催だった。パリ大会のテロ対策は成功だったのか、危機管理が専門で日本大学危機管理学部教授である福田充氏とともにパリオリンピックを振り返った。
2024/11/29
-
-
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方