2024/12/17
防災・危機管理ニュース
【イスタンブール時事】アサド政権崩壊後のシリアで、過激派組織「イスラム国」(IS)の復活に対する懸念が強まっている。旧反体制派が首都ダマスカスなど国家の中枢部を制圧したものの、北部ではトルコが支援する武装組織とクルド人勢力の交戦が続き、ISの再興を抑え込んでいた状況が不安定化した。既にISが攻撃を強化した兆候も見られる。
在英のシリア人権監視団は15日、アサド政権崩壊後、ISの仕業とみられる6回の攻撃で市民18人を含む70人が死亡したと伝えた。攻撃は砂漠地帯や油田などで発生。人権監視団は、旧政権軍の撤退などに伴って生じた「治安の空白」にISが乗じているようだと指摘した。
ISはかつてシリアとイラクにまたがる地域を占拠したが、国際社会の軍事作戦で衰退。シリアでは、米国などが支援するクルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)が主力を担った。米中央軍によると、SDFは今もシリア各地で計20カ所の収容施設を管理し、IS元戦闘員ら計9000人以上を拘束している。
しかし、政権崩壊後、北部で親トルコの武装組織「シリア国民軍」(SNA)がSDFへの攻勢を強め、劣勢のSDFの掌握地域が縮小した。ISはその隙を突いた形だ。
IS掃討でSDFを必要とする米国は、危機感を募らせている。ブリンケン米国務長官は北大西洋条約機構(NATO)の同盟国であるトルコを訪れ、「われわれは長年ISの排除と復活阻止に注力してきた。継続が不可欠だ」と訴えた。
これに対しトルコは、SDFをはじめとするクルド系民兵組織を、トルコ国内の反政府武装組織クルド労働者党(PKK)と一体の「敵」と見なす。対クルド軍事作戦の手を緩める選択肢はなく、エルドアン大統領は「自国の安全のため、シリアで活動する全てのテロ組織に対し予防的措置を取る」と強硬な構えを崩さない。
〔写真説明〕9日、シリア北東部の空港を警備する「シリア民主軍」の民兵(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方