2025/01/03
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】バイデン米大統領は3日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を中止するよう命じた。製造業を支える鉄鋼メーカーが海外企業に買収されれば、安全保障上の懸念が生じると判断。原則として30日以内に買収計画を「完全かつ永久に放棄」する措置を講じるよう求めた。日鉄とUSスチールは、法的措置も辞さない構えだ。
同盟国の企業による買収を「安保上の懸念」を理由に差し止めるのは極めて異例。日米関係のほか、日本企業の対米投資や進出に悪影響を与えそうだ。
バイデン氏の判断を受け、日鉄とUSスチールは「失望している。決定はバイデン氏の政治的な思惑のため下されたものであり、法令に明らかに違反している」と批判。「法的権利を守るため、あらゆる措置を講じる」とする声明を発表した。
バイデン氏は声明で「米国最大の鉄鋼生産者の一つを外国の支配下に置くもので、安保と重要なサプライチェーン(供給網)にリスクをもたらす」と説明。「USスチールは米国人が所有・操業し、鉄鋼労組の労働者が働く世界最高の誇り高い企業であり続ける」と訴えた。
米政府の省庁横断組織、対米外国投資委員会(CFIUS)が安保の観点から買収計画を審査したが、期限までに結果がまとまらず、昨年12月にバイデン氏に判断を一任していた。バイデン氏はこれまで、USスチールは「国内で所有、運営されるべきだ」との見解を表明していた。
〔写真説明〕バイデン米大統領=2024年11月、ワシントン(AFP時事)
〔写真説明〕日本製鉄本社が入るビルの前に掲げられた看板=2024年2月、東京都千代田区
〔写真説明〕米鉄鋼大手USスチールのエドガー・トムソン製鉄所=米ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊
(ニュース提供元:時事通信社)



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