2025/04/17
防災・危機管理ニュース
証券会社のオンライン取引に利用される口座が何者かに乗っ取られ、株を勝手に売買される被害が相次いでいる。犯罪グループによる相場操縦などに利用されている疑いがあり、各社が警戒を呼び掛けている。一方、証券取引等監視委員会も市場の動向を注視している。
口座乗っ取りは3月下旬、楽天証券が公表したことで被害が表面化。他にも野村証券やSBI証券など複数の会社で確認された。各社によると、犯罪グループは本物そっくりの偽サイトに誘導し、IDやパスワードを盗み取る「フィッシング」の手口で顧客に成り済まし、勝手に株を売買したとみられる。
当初は海外株を中心に不正な取引が行われ、楽天証券などは一部中国株の買い注文を停止。その後、日本株に対象が広がり、一時取引が停止された銘柄もあった。
犯罪グループは株価が変動しやすい低価格の株を大量に買い付けて相場をつり上げ、高値で売り抜けたとみられる。こうした行為は金融商品取引法が禁じる相場操縦に当たる可能性がある。
監視委関係者は「相当数の銘柄の株価がいじられており、ほっておけない」と語気を強める。不自然な値動きは100銘柄を超えるとみられ、「これほど大量に乗っ取られた例は記憶にない」と話す。
証券口座の乗っ取りは不正アクセス禁止法違反に当たる可能性があり、監視委関係者は「不正アクセスをした人物の特定が急務」とするが、監視委の調査だけでは特定は難しい。この関係者は「警察とも連携する必要があるのでは」と語った。警察当局は情報収集を進めている。
乗っ取りによる被害を防ぐために投資家はどうすればいいのか。情報セキュリティー大手トレンドマイクロの担当者は「メールやSMS(ショートメッセージサービス)での通知は不用意にクリックしないこと。各社の公式アプリを使うのも対策になる」と話した。
〔写真説明〕野村証券が公表した、偽サイトに誘導するメール(同社ホームページより)
〔写真説明〕野村証券が公表した、偽サイトに誘導するメール(同社ホームページより)
(ニュース提供元:時事通信社)


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