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中華人民共和国(中国)とロシア連邦(ロシア)は、対米共闘のパートナーとして戦略的協力を深めているが、中央アジアやシベリアの地政学的・地経学的背景から、両国は競争相手としても振る舞う。

中露の対米共闘と戦略的パートナーシップ

中国とロシアは、米国主導の国際秩序に対抗するため、戦略的パートナーシップを強化している。2001年の「中露善隣友好協力条約」や上海協力機構(SCO)の設立は、両国の協力を象徴する。SCOは中央アジア諸国を巻き込み、米国の地域影響力を牽制する枠組みとして機能する。近年では、両国は軍事演習「ヴォストーク2018」や「海上連携」シリーズを通じて軍事協力を深化させ、対米圧力を高めている。2024年7月のSCO首脳会議では、プーチン大統領と習近平国家主席が「多極化世界の安定力」を強調し、米国への対抗姿勢を鮮明にした。

経済面でも、ロシアはウクライナ侵攻後の欧米制裁を受け、中国との貿易を拡大している。2024年には、ロシア産天然ガスの中国向けパイプライン「シベリアの力2」の建設が加速し、エネルギー協力が進展している。 両国は、米国中心の金融システムに対抗するため、人民元やルーブルでの決済を増やし、ドル依存の低減を目指す。これらの動きは、中露が対米共闘のパートナーであることを示す。