「IT×災害」情報発信チームは2月25日、都内のTwitter本社で「災害時のTwitter活用勉強会」を開催した。「IT×災害」はIT系企業に勤める開発者らがプロボノ*として集まり、IT活用による災害対応を検討するプロジェクト。情報発信チームは同様の勉強会を今後定期的に開催する。

*プロボノ…各分野の専門家が職業上持っている知識、スキルや経験を生かして社会貢献するボランティア活動(出典:Wikipedia)

Twitter Japanメディア事業部パートナーマネージャー政治・ライフライン担当の谷本晴樹氏は、「災害時に最も活用されるソーシャルメディアはTwitter。新しく開発された『Twitterアラート』など、政府も積極的に活用していく方針が出ている」と災害時の活用における利点について話したほか、「#和光市災害」ハッシュタグ*の活用による和光市の防災訓練に関する事例などを発表した。和光市では訓練後に水害が発生。実際にハッシュタグが使用された投稿が自発的に市民から発信され、同市の情報共有に役立ったという。

*ハッシュタグ…#記号と英数字や日本語で構成される文字列。発言内に「#○○」と入れて投稿すると、その記号が付与された発言が検索画面で一覧できるようになり、閲覧がしやすくなる機能。(出典:ツイナビ)

 ◆Twitter 「#和光市災害」検索結果

https://twitter.com/hashtag/%E5%92%8C%E5%85%89%E5%B8%82%E7%81%BD%E5%AE%B3?src=hash&lang=ja

続くスピーカーの国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)道路研究官の稲野茂氏は、災害時の投稿の中で、ハッシュタグを共通タグ「#災害情報」、地域タグ「#○○市災害」のほか、ジオタグ*を付与することでさらに情報の精度が増し、デマ対策にもなると提案した。同氏は群馬県建設業協会で開催したTwitterの活用訓練について報告。「訓練によってTwitterの有効性を確認することができた。建設業界は災害復旧・復興に貢献しなければいけない業界なので、例えば公共入札時の加点要件にすることなどを検討し、今後の建設業界における活用を促進してきたい」と話す。

*ジオタグ…主に画像データなどに付与される追加情報(タグ)で、写真が撮影された場所を特定し、地図上に描画することが可能になる(出典:知恵蔵2015)

最後の発表者は東海大学情報理工学部准教授の内田理氏。内田氏は国総研との訓練などを通じて、ハッシュタグやジオタグを簡単につけるシステムの必要性を認識。現在同大の研究室で「災害報告専用Twitterクライアント」システムを開発中だという。「今後の課題はTwitterなどを活用し、大学と周辺地域との防災に関する連携を強化していくこと。大学は学生、教職員など合わせて3万人超。さらに大学生はソーシャルメディアを日常から使っているため、Twitter活用のハードルが低い。このスケールメリットを活かした防災の取り組みをこれから研究していきたい」としている。

左からTwitter Japanの谷本晴樹氏、東海大学准教授の内田理氏、国総研道路研究官の稲野茂氏