経済産業省は、工業用水道の耐震化や浸水対策などに取り組む自治体向けの補助金を巡り、申請を希望する場合、経営改善につながる事業計画の策定を求める方針を固めた。施設の老朽化が進む一方、水需要は減少し、事業の経営は厳しさを増している。そこで、水需要や財政収支の見通しを明確にして経営改善を目指す自治体を後押しする狙いだ。18日に開かれる産業構造審議会の下に置かれた会議で、こうした方針を示す。
 対象は、耐震化や浸水対策などの施設整備に対する「工業用水道事業費補助金」。経産省の指針に沿って、実際の使用量に基づく水需要の推計や施設規模に対する考え方、財政収支見通しなどを含んだ計画を策定するよう求める。
 今回の見直しは、2026年度の募集から適用する。ただ27年度までは、一定の条件を満たせば申請を認めるなどの経過措置を設ける。
 工業用水道は、製造業などの工場稼働に不可欠なことから、「産業の血液」とも称される。近年は管路の老朽化が深刻で、40年の法定耐用年数を超えた割合は21年度時点で48.3%に上る。災害の激甚化も進む中、施設更新の加速は急務だが、多くの自治体が財源不足を理由に実施に踏み切れていない。
 一方、産業構造の変化により、事業を取り巻く環境も変わっている。水需要は減少傾向にあり、ピーク時は約70%だった施設の稼働率は約50%まで減少。経産省幹部は「必要以上の設備を保持し、経営状況を悪化させているケースもある」と指摘し、経営改善を後押しする必要性を示した。 
〔写真説明〕経済産業省=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)