効率化を進めるアステラス製薬の災害対応

危機管理塾 6月17日

アステラス製薬株式会社
経営企画部Risk & Resilience Management 課長
井上陽介氏

危機管理塾をリアル開催。アステラス製薬の井上陽介氏が自社の災害対応と効率化の工夫について発表

フォーマット文書やイントラ活用で防災活動を効率化

危機管理塾は6月17日、東京・千代田区で開催。アステラス製薬で危機管理や災害対策・BCPに携わる、経営企画部Risk & Resilience Management 課長の井上陽介氏が、災害対策にかかる各種施策と効率化の工夫を紹介した。

井上氏は、自身が考える企業における災害対策の重要なポイントとして「従業員が被害状況を報告でき、企業がそれを把握できる」「企業が従業員に安全や対応のためのメッセージを送れる」「職場で従業員の安全を確保する備えができている」という三つを指摘。「これを限られたリソースで行うには効率的であることが重要」と話した。

同社のBCPはグローバルで統一の基準に則って各組織が検討、実装し、訓練も実施。これを、井上氏が所属するRisk & Resilience Management が統括、サポートしている。国内の災害発生時の初動対応全体の取りまとめも同組織が担当していることから、その部分の取り組みについて紹介。そのなかのいくつかの実施事項を説明するうえで、全体を通して効率化の工夫を重要視しているとした。

例えば、有事の発信文書は日頃から用意し、平時の訓練や連絡事項は実施後に資料・案内文書を保管。ひな形として次回以降にも使えるようにすることで「時間短縮と質の確保に有益」と述べた。また、各種資料やマニュアルは社員や関係者に自分で見てもらえてバージョン管理もできるように、イントラネットに格納してリンクなどで提供しているとした。

一方、災害時の重要業務の担当者には直接面談して紹介する、主要組織の担当者とは意見交換の場を定期的に持つなど、コミュニケーションも重視。自分自身についても「知識がないと企画・検討に時間がかかる」といい「忙しいときこそ、情報をインプットする時間を確保することを心がけている」とした。

井上氏はこのほか、災害対応組織の体制や初動対応の仕組み、訓練・マニュアルの現状などを説明。富山に対策本部事務局のバックアップ体制を整備していることや、必要に応じて役職別や訓練別のマニュアルをつくっていること、各組織の担当者と訓練や連絡会を行っていることなどを紹介した。

参加者の声

 

・ありがとうございました。「効率」の観点、とても参考になりました。

 

・BCP 組織の効率化に取り組みたいと思っていましたので、大変勉強になりました。ありがとうございます。

 

・お話が整理されており、とてもわかりやすかった。

 

・ありがとうございました! 効率化は①準備と用意②真似る、ですね。

 

・全社的な災害対応の体制構築および密なコミュニケーションが取れていると感じました。勉強になりました。