BCPポータルから始めるBCP-DX初級コース
ダッシュボードの高機能化から生成AI活用まで

リスクトレンド研究会 6月19日

プリンシプルBCP研究所所長
林田朋之氏

リスクトレンド研究会をオンラインで開催。プリンシプルBCP研究所の林田朋之氏がBCP-DXの初級コースを解説

リスクトレンド研究会は6月19 日、オンラインで開催した。「BCP-DX 初級コース」と題し、プリンシプルBCP 研究所の林田朋之氏が災害対策本部の意思決定を支援するBCPポータルサイトのつくり方を紹介。マイクロソフト365やグーグル・ワークスペースなどのサイト作成機能を使い、ダッシュボード(トップページ)をわかりやすく見せる方法を解説した。

林田氏はBCP-DXが求められる背景について、複合災害への対応やリスク環境の変化からBCPが複雑化しさまざまな情報を素早く処理・分析する必要性が高まっていること、そのためにBCP事務局の負荷が増大していることを指摘。これを解決するための第一歩として「経営層に情報をわかりやすく示すところから始めてはどうか」と提案した。

具体的には、内製でつくれるBCPポータルサイトのダッシュボード機能を活用し、被災状況を視覚的に見せること。「災害時、意思決定に必要な情報をわかりやすく示せば、経営層が迅速に判断できる。それが実現するだけでもBCPの精度が上がり、実効性がアップする」と話した。

そのうえで、わかりやすいダッシュボード構成のデザイン例を提示。「ヒト・モノ・ジョウホウのそれぞれについて、例えば『社員安否』『ビル・施設設備』『サーバー』などの大項目をアイコンにし、被災状況を青・黄・赤の色分けで示すことで、足りないリソースがひと目でわかる」とした。

●BCP ダッシュボード(トップ画面)の参考例(抜粋)

出所:プリンシプルBCP研究所

視覚化の元となる情報整理も、本社、工場、事業部、社外インフラのそれぞれについて、ひな形となる被災状況チェックシートを例示。このシートがアイコンをクリックした2層目・3層目に出てくる構成で「チェック項目の色分けの基準は、例えば『安否確認の回答率が何%以下なら赤』といった具合に、恣意的でいいのであらかじめ決めてほしい」と述べた。

林田氏はBCP-DXの中級コース、上級コースとして、生成AI の活用やシステム化にも言及。うち中級コースは手動で生成AI に質問し、意思決定に使えるアウトプットを引き出すもので、うまくプロンプトを設定できれば任意の時点の自社の現況分析と今後に向けた提言などを要約した文章で引き出せるとした。

「生成AI が現状分析と経営層への助言・提言を簡潔な文章でアウトプットしてくれれば、事務局の負荷は大幅に低減できる。ただ、そのためには狙った出力をさせるためのプロンプトの書き方、センスが必要。また、コンプライアンスの問題や正確性検証の問題もあるため、社内DX 相談しながら進めるのが現実的」と話した。

参加者の声
 

・色分けを効果的に活用するアイデアについて、当社のBCPポータルサイトに取り入れようと思います。
 

・ネットワークさえつながっていればBCPダッシュボードがとても有用であること、さらに、うまくAI活用できれば有事の際の大きな経営の拠り所になり得ることがイメージできました。
 

・ダッシュボードを活用したBCPについて、非常に具体的にご説明いただけたこと。IT 初心者の私でも、お話がわかりやすく、ご説明時間も適当で、大変勉強になりました。
 

・ダッシュボードのあるべき状態や、生成AIの活用方法を具体的に知ることができ有意義でした。


・シェアポイントにテンプレートがあるとのご説明で、30分ほどでできるとありましたので、すぐにも実行してみようと思いました。


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