新入社員に寄り添う態勢はできている?
第8回:新入社員を迎えるにあたり考えること

本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2025/04/08
これだけは社員に伝えておきたいリスク対策
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
この季節になると、新入社員を迎える職場も多いのではないでしょうか。新入社員はやる気とともに「上司や先輩とうまくやっていけるだろうか」「仕事はちゃんとこなせるだろうか」などの不安も抱えて入社しています。
一方、新入社員を迎える職場でも、事務的な手続きから研修にいたるまで、受け入れにあたってやるべきことがあります。今回は、新入社員に対して伝えたいこと、そして新入社員を迎える職場に伝えたいことを考えます。
新入社員に対して伝えるべきことは、企業の大きさや組織体制、また社風によって必ずしも同じではありません。例えば、人事部がオリエンテーションから研修までのプログラムをつくり込んでいる企業と、創業まもないベンチャー企業では、状況が異なります。ここでは、新入社員にこれだけは押さえてほしいポイントを説明します。
ルールを守るというと、「法令を守る」という言葉が思い浮かぶと思います。もちろん、法令遵守は企業が守るべき最低限のルールであり、それに違反すれば刑法(横領やインサイダー取引など)や、民事法(債務不履行など)の法的制裁が科されるからです。
しかし、企業として押さえておくべき点は、他にもあります。それは、自社のルールや社会規範も極めて重要であることです。
それは、自社のルールや社会規範に反する行為、つまり自社のコンプライアンス規程に違反する行為や社会的な信頼を失う行為を行った場合、世の中からの非難、いわゆるバッシングを受け、結果として信頼を失うことになるからです。
① 知らないルールは守れない
自らが勤務する企業のルール、そして社会規範はまず、知っていることが前提です。つまり、知らないルールは守ることができないからです。就業規則や服務規程、そして事業部門ごとに定められたルールを理解する、そしてそれを守ることが大切です。
②身だしなみや言葉づかいも会社によって異なる
学生時代は、自分の好む服装や髪形、そして言葉づかいも気にする必要がなかったかもしれません。しかし、社会人になると、明文化されているかどうかは別にして、それぞれの企業によってルールが存在します。
例えば、身だしなみは、どのような業界で仕事をするかによって、大きく左右されます。制服の着用が義務付けられている接客業ももちろんあります。しかし、かつてはネクタイ・背広を着ることが当たり前であった金融業でも、今は、個人が自由に服装を選択できる「ドレスコードフリー」を導入するなど自由度が高まっています。
また、IT業界などでは、ポロシャツやスニーカーなど、TPO(時間、場所、場合)に応じて、服装も個人にゆだねるという傾向が強いと考えられます。企業にドレスコートがある場合は、もちろんそれに従いますが、ない場合も、自分が所属する組織にふさわしい服装・髪型をつかむことが大切です。
新入社員は、学生時代から自分のSNSアカウントを持ち、さまざまな発信を行っている人も多いかと思います。ただ、これからは、会社生活の中で日々の生活を発信していると、顧客情報の漏洩が起こる、また不適切発言による炎上につながることもあり得ますから注意が必要です。
特に、「個人のアカウントであれば、個人のトラブルになる」とも言い切れず、所属している会社が特定されて、問題となり風評被害が起こることも、過去の事例では珍しくありません。
学生時代とは違うということを意識した上で、勤務先や自分の業務内容を特定できる情報を発信しないなど、会社のルールに従って発信することが求められます。
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