【シドニー時事】南太平洋の島国ツバルの国民の半数に相当する5000人超が、オーストラリアへの移住枠に応募した。18日が初回の申請締め切りで、約20倍の抽選によって定員の280人にビザが発給される運びだ。ツバルは海面上昇に伴い国土水没の危機にさらされており、早期脱出を望む人が多いことが明確になった。
 豪州は2023年にツバルと締結した「ファレピリ連合条約」に基づき、海面上昇対応の一環として毎年280人の移住受け入れを決めた。ツバルの人口は約1万人で、6月に始まった初回の募集に、7月11日時点で1466世帯の計5157人が応募した。最終的にさらに増える見込みで、来年1月までに抽選が行われる。当選者は永住ビザを取得し、豪州で就労・就学が可能となる。ツバルとの往来も自由だ。
 ツバル政府は豪州などの支援を得て護岸整備や土地のかさ上げを進めているが、海面上昇が進めば2100年までに国土の95%が浸水するとの予測もある。国連児童基金(ユニセフ)は既に地下水や農地に塩害が発生しているとして、飲料水や衛生用品などの支援を行っている。
 ツバルのテオ首相は英BBC放送のインタビューで「移住ビザは国民に機会を提供するものだ」と強調。「豪州に永住する道もあれば、豪州で技能を習得した後に戻り、祖国の発展に貢献するという道もある」と語った。
 ツバルは台湾と外交関係を保つ国の一つ。テオ氏は「今後も関係を堅持する」としている。 
〔写真説明〕ツバルで最も人口が多いフナフティ島=2024年9月(ロイター時事)
〔写真説明〕浸水したツバルの学校の校庭=撮影日時・場所不明(ユニセフ提供・時事)
〔写真説明〕海面上昇対策で護岸を整備するツバルの作業員=撮影日時・場所不明(ユニセフ提供・時事)

(ニュース提供元:時事通信社)