【イスタンブール時事】シリア南部スワイダ県で18日、イスラム教少数派ドルーズ派とスンニ派のベドウィン(遊牧民)が再び激しく衝突した。シリア暫定政府の治安部隊が17日にスワイダ県から撤退後に交戦が再燃した。大統領府は19日、事態沈静化のため治安部隊が再び展開を始めたと発表。「全ての地域での戦闘停止や市民の保護」などを訴えた。
 在英のシリア人権監視団によれば、衝突に伴う死者は19日までに940人に達した。双方の武装勢力による砲撃や建物への放火、略奪や市民の誘拐などが伝えられ、治安が極度に悪化している。
 現地からの情報では、シリア各地から武装勢力が南部方面へ大勢向かっており、交戦が拡大する恐れもある。シャラア暫定大統領は19日の演説で「シリアは分断や宗派的扇動の実験場ではない」と述べた上で、犯罪行為は厳しく処罰すると警告した。
 水や電気、生活必需品の不足が深刻化し、AFP通信によれば、国際移住機関(IOM)は衝突後に約8万人が避難を強いられたと明らかにした。 
〔写真説明〕18日、シリア南部スワイダ県で、イスラム教少数派ドルーズ派との衝突への対応で動員されるベドウィン(遊牧民)の戦闘員ら(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)