警察庁は29日、2025年度版の警察白書を公表した。特集では「SNSを取り巻く犯罪と警察の取組」と題し、SNSを悪用した犯罪の動静や、それに対抗する捜査手法などを紹介した。
 白書は、SNSの普及で匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)などが国民に容易に接触し、犯罪を行うことが可能になっていると指摘。SNSで関係を深めて信用させる「SNS型投資・ロマンス詐欺」の24年の認知件数は、1万件を超え被害額は1272億円に上るほか、トクリュウによる犯罪の実行役の募集や、薬物密売、児童買春などにもSNSが悪用されているとした。
 また、捜査で押収したスマートフォンや破損した電子機器からデータを抽出・復元し証拠化する「デジタルフォレンジック」や、暗号資産の追跡、サイバーパトロールへのAI(人工知能)活用などの捜査手法を紹介。課題としてサイバー人材育成に向けた態勢強化や暗号化技術への対応を挙げ、「仮想身分捜査」や「架空名義口座捜査」といった新たな捜査手法の確立にも取り組むとした。 
〔写真説明〕警察庁=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)