内閣府は7日、2025年度の国内総生産(GDP)成長率が、物価変動の影響を除く実質で前年度比0.7%になるとの試算を経済財政諮問会議(議長・石破茂首相)に報告した。1月に閣議決定した政府経済見通しで1.2%と予想していたが、トランプ米政権の高関税政策による景気減速リスクを反映し、大幅に下方修正した。
 米関税は、製造業を中心とする対米輸出の落ち込みに加え、世界経済の停滞といった間接的な影響も想定される。外需の伸び悩みにより、輸出は1.2%増(1月時点3.6%増)に縮小。企業の設備投資は1.8%増(同3.0%増)にとどまる。
 コメをはじめとする食料品の値上がりが続く中、節約志向は根強く、個人消費は1.0%増(同1.3%増)に引き下げた。ただ、賃金上昇のほか、政府の物価高対策や備蓄米放出の効果などにより、勢いを欠く外需とは対照的に「内需が下支えする」(内閣府担当者)と予想した。
 金額ベースで見た実質GDPの規模は564兆円に拡大する見通しだ。
 首相は会議で、米関税措置を踏まえて企業の資金繰り支援などに万全を期すと表明。経済安全保障面で日米連携も進め、「ピンチをチャンスに変える」と強調した。 
〔写真説明〕経済財政諮問会議で発言する石破茂首相=7日午後、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)