【ベルリン時事】ポーランド軍は10日、ウクライナを狙ったとみられるロシアの複数のドローンが領空侵犯し、一部を撃墜したと発表した。北大西洋条約機構(NATO)の領空内でロシアのドローンが撃墜されるのは初めてという。ポーランドのトゥスク首相は「大規模な挑発行為だ」とロシアを非難した。
 ドローンは9日夜から10日未明にかけて飛来し、トゥスク氏によると19機がポーランド領空に侵入し、最大4機を撃墜した。大半はロシアの同盟国ベラルーシ側から侵入したという。ポーランドに駐留していたオランダ軍のF35戦闘機などが対応に当たった。この影響でポーランドの首都ワルシャワの国際空港への離着陸が一時停止された。
 現地メディアによると、ポーランド東部を中心にドローンやミサイルの残骸が見つかった。けが人はいなかったが、住宅や車が損傷し、国境から約400キロ離れた地点にも到達していた。ポーランドは、NATOに対して加盟国の安全が脅かされた場合に実施する第4条に基づく加盟国間の協議を求めた。4条の発動は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年2月以来。 
 欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)は「意図的」な侵犯との見方を表明。フランスのマクロン大統領は「同盟国の安全保障で妥協するつもりはない」と強調した。ウクライナのシビハ外相は「いま弱腰になれば、ロシアは増長し、ミサイルやドローンが欧州のさらに奥深くまで飛んでくる」と対ロシアで断固たる措置を講じるよう求めた。
 ポーランド政府は9日、ベラルーシで同国とロシアの共同軍事演習が行われるのに合わせて、11日から対ベラルーシ国境を封鎖すると発表した。NATOとロシア、ベラルーシの境界で軍事的な緊張が高まっている。