【シドニー時事】オーストラリアのシドニー大学研究チームが、熱中症予防に役立ててもらうため、地域ごとに危険のレベルや対策を表示するアプリを開発した。これから夏へ向かう豪州で運用し、将来は世界規模での展開も視野に入れる。発汗量を基に必要な水分補給量の目安を算出するアプリも開発済みで、併用できる。
 シドニー大熱・健康研究センターのオリー・ジェイ教授らが開発したアプリ「ヒートウオッチ」は、利用者が年齢や居住地域、持病の有無などを入力すると、その人に特化した熱中症リスクが6段階で1週間先まで表示される。エアコンを使えない環境も想定されるため、危険度が高い場合には「水を飲む」「扇風機を使う」「皮膚をぬらす」といった対策が示される。
 一方、脱水症状になるのを防ぐため、どれだけ水を飲めばいいかを教えてくれるのが「水分補給量計算」アプリだ。身長や体重、気温、湿度、風量、日照の強さといった条件を入力し、活動の程度がランニングかサイクリングかを選択すると、必要な水量をはじき出してくれる。例えばある大人が32度の蒸し暑い中で30分間サイクリングしたと入れると、結果は598ミリリットルと出た。
 研究チームは人工的に酷暑環境をつくり出せる実験室を使い、子供から高齢者まで体にかかる負荷を調べ、アプリに生かした。ジェイ氏は「気象情報の気温は日陰で測ったもので、炎天下や風通しの悪い場所ではより大きな負荷がかかる」と指摘。「飲み水は1日何リットルという定量ではなく、発汗量に応じて失われた分を補うようにすべきだ」と話している。 
〔写真説明〕危険レベルが「高い」と表示する熱中症対策アプリ=24日、オーストラリア・シドニー郊外
〔写真説明〕酷暑環境の実験室で取材に応じるシドニー大学のオリー・ジェイ教授=17日、オーストラリア・シドニー

(ニュース提供元:時事通信社)