2025/10/27
防災・危機管理ニュース
【シドニー時事】オーストラリアのシドニー大学研究チームが、熱中症予防に役立ててもらうため、地域ごとに危険のレベルや対策を表示するアプリを開発した。これから夏へ向かう豪州で運用し、将来は世界規模での展開も視野に入れる。発汗量を基に必要な水分補給量の目安を算出するアプリも開発済みで、併用できる。
シドニー大熱・健康研究センターのオリー・ジェイ教授らが開発したアプリ「ヒートウオッチ」は、利用者が年齢や居住地域、持病の有無などを入力すると、その人に特化した熱中症リスクが6段階で1週間先まで表示される。エアコンを使えない環境も想定されるため、危険度が高い場合には「水を飲む」「扇風機を使う」「皮膚をぬらす」といった対策が示される。
一方、脱水症状になるのを防ぐため、どれだけ水を飲めばいいかを教えてくれるのが「水分補給量計算」アプリだ。身長や体重、気温、湿度、風量、日照の強さといった条件を入力し、活動の程度がランニングかサイクリングかを選択すると、必要な水量をはじき出してくれる。例えばある大人が32度の蒸し暑い中で30分間サイクリングしたと入れると、結果は598ミリリットルと出た。
研究チームは人工的に酷暑環境をつくり出せる実験室を使い、子供から高齢者まで体にかかる負荷を調べ、アプリに生かした。ジェイ氏は「気象情報の気温は日陰で測ったもので、炎天下や風通しの悪い場所ではより大きな負荷がかかる」と指摘。「飲み水は1日何リットルという定量ではなく、発汗量に応じて失われた分を補うようにすべきだ」と話している。
〔写真説明〕危険レベルが「高い」と表示する熱中症対策アプリ=24日、オーストラリア・シドニー郊外
〔写真説明〕酷暑環境の実験室で取材に応じるシドニー大学のオリー・ジェイ教授=17日、オーストラリア・シドニー
(ニュース提供元:時事通信社)


- keyword
- 熱中症
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/09
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/12/05
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
-
-







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方