事業所内で、運転者の適正把握などを行う安全運転管理者を選任しなかったなどとして、警視庁交通捜査課は11日、道交法違反容疑で、医療品運送会社「メディスケット」副社長の男(43)=東京都東久留米市=と、法人としての同社を書類送検した。「選任していなかったが、実施すべき業務は実施していた」と容疑を一部否認している。同課は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。
 同課によると、7月7日午前11時半ごろ、新宿区のJR四ツ谷駅付近で、同社の車が赤信号で横断歩道に進入。20代の大学生2人をはねてけがをさせた上、歩道に突っ込む事故を起こした。運転していた派遣社員は自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕=不起訴=されたが、当時熱中症で意識を失っていたとみられる。捜査の過程で、今回の事件が発覚した。
 送検容疑は2023年10月~25年7月、都内の6事業所で安全運転管理者を選任しなかったなどの疑い。
 6事業所では156台の車を使用していたが、出発前の点呼は従業員同士でしていたという。
 道交法は、5台以上の車を使用する事業所に安全運転管理者を置くよう義務付けており、20台以上の場合は、副安全運転管理者も選任する必要がある。管理者は運転者の適正把握や、点呼、アルコールチェックなどが業務として定められている。
 同社親会社メディパルホールディングスの話 選任の基準について認識の誤りがあり、深く反省している。 
〔写真説明〕JR四ツ谷駅付近で事故を起こした車を調べる警察官=7月7日、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)