【シドニー時事】オーストラリアの保守系最大野党、自由党は13日、温室効果ガス排出を2050年に実質ゼロとする党の目標を放棄することを決めた。政権を奪還すれば、同じ内容の国家目標を取り消す構えだ。5月の総選挙で惨敗した同党は、気候変動に懐疑的な保守層や環境規制に批判的な業界の支持を固め、勢力回復につなげたい考え。だが、中道票が離れる可能性もあり、政策転換は「もろ刃の剣」となりそうだ。
 自由党は与党だったモリソン前政権時代に実質ゼロ目標を導入。アルバニージー労働党政権もこれを踏襲し、30年に05年比43%減、35年に最大70%減とする中間目標を掲げた。しかし、火力発電から再生可能エネルギーへの転換を進める中で電気代が高騰。自由党は「電気代の引き下げが第一だ」として目標放棄へかじを切った。 
〔写真説明〕オーストラリア与党・労働党のアルバニージー首相(左)と保守系最大野党・自由党のリー党首=7月22日、キャンベラ(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)