【シドニー時事】オーストラリア上下両院は28日までに、環境規制を大幅に強化する内容の改正環境保護法を可決した。所定の手続きを経て近く成立する。上院で過半数に満たない与党・労働党は、左派野党・緑の党との交渉で脱炭素の規制を政府原案よりも厳しくする修正を行い、協力を取り付けた。
 改正法は規制強化策として、(1)環境保護庁を来年7月に新設(2)重大な環境破壊に対する罰金を8億2500万豪ドル(約840億円)に引き上げ(3)大規模開発事業で温室効果ガス排出量と削減計画の公表を義務付け―などを規定。一方、産業界の理解を得るため、開発許可手続きの迅速化も盛り込んだ。
 与党は緑の党との修正協議で、石炭・ガス関連の開発を手続き迅速化の対象から外すことで合意。森林保護のため3億豪ドル(約300億円)規模の基金を創設することも決めた。アルバニージー首相は「一連の改革は、住宅増設や再生可能エネルギー拡大、重要鉱物確保といった国家の優先課題の解決に資する」と強調した。 
〔写真説明〕オーストラリア国旗(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)