米グーグルやアップルなど巨大IT企業を規制するスマホソフトウエア競争促進法(スマホ新法)が18日に全面施行される。スマホ利用者が検索アプリやブラウザー(閲覧ソフト)を自由に選択できるようになるほか、競合他社のアプリストアの利用を妨げる行為を禁止する。違反した場合、課徴金として対象分野の国内売上高の20%、繰り返せば30%を科す。
 スマホを操作する際に不可欠な基本ソフト(OS)は、グーグルとアップルが独占している。公取委は、2社が競争上有利な立場を生かして、あらかじめ自社の他のサービスが使われるよう設定し、新規事業者の参入を阻んでいると問題視。新法で市場に活発な競争を促す考えだ。
 その一環として、スマホの初期設定時にユーザーが検索アプリやブラウザーを自由に選択できる画面「チョイススクリーン」の導入が義務付けられる。既に利用中のスマホも対象で、18日から1年以内に本体OSの更新時などに表示される。NTTドコモとKDDI、ソフトバンクの携帯大手3社はチョイススクリーンの周知活動を行う。
 アプリストアも規制される。アップルやグーグルのストアでアプリを提供する多くの事業者は、決済手数料として売り上げの約30%を支払っている。公取委は2社による寡占が高額な手数料の背景にあるとみており、決済サービスをアプリ事業者が選べるようにする。
 選択肢が広がって手数料が安くなれば、アプリ事業者がその分を新サービスの開発費などに充てられる。アプリユーザーが支払う有料サービスの料金が安くなる可能性もある。ゲームアプリで独自の決済手段を提供するスクウェア・エニックスの担当者は、「決済手段の多様化で市場全体の活性化に期待する」と話す。
 一方、セキュリティー面のリスクを警戒する声もある。IT関連の法制度に詳しい小向太郎中央大教授は、アップルが有害アプリを排除するために厳格な審査を行っていると指摘し、「ストアが増えるほどチェックが甘くなり、安全性や安心感が低下するのではないか」と懸念。「消費者保護を強化する制度整備が必要だ」と訴えている。 

(ニュース提供元:時事通信社)