イメージ(Adobe Stock)

企業はこれまで経営の中心に据えてきた財務要素中心の短期利益至上主義から、非財務要素を考慮し中長期的に社会的価値と経済的価値の向上を両立させる方向へと舵を切り、サステナブル経営を推し進めようとしている。このような過程で、企業を取り巻く不確実性の高まりによる企業価値への変動幅の拡大に留意しなければならない。

これまで企業は財務要素を中心にリスク管理を強化してきた。しかし非財務要素に関わる新たな不確実性の登場は、経営を不安定化させる。将来のリスク構造が大きく変化しようとしている今、企業が現在保持している耐性は十分とはいえない。

自然環境の不確実性の高さ

企業が自然環境を取り扱う際には、不確実性の問題は常に課題となる。例えば、河川における堤防について考えてみるとわかりやすい。国土交通省は、我が国の河川堤防に関して一般的に確保されるべき最低限の安全性について河川堤防設計指針を公表している。これは、新堤の整備や既設の堤防の安全性の点検に適用され、直轄河川の既設の堤防を拡築することを念頭に置いてまとめられている。

その特徴として当初は、通常の構造物で行われるような構造物の耐力と外力を比較するという設計法はとられておらず、設計に関する堤防の構造 (断面形状(余裕高、天端幅、のり勾配等)の最低基準を河川の規模(流量)等に応じて) の原則を規定していた*1)。その後、堤防の設計においても一般の構造物の設計法と同様、外力と耐力の比較を基本とする設計法(安全性照査法)を導入し、それぞれの機能毎に堤防の安全性を照査し、所要の安全性が確保されていないと判断される区間については強化を図るように改訂されている。しかしながら、洪水あるいは地震による堤防の不安定化、あるいは変形のメカニズム等については、現時点においても全てが解明されているわけではなく、本指針で採用した設計法は、十分に確立された技術的知見であるとは必ずしもいえない、と指摘されている。そして、適用にあたっては未解明な部分が残されていることに留意するとともに、モニタリングを並行して実施することにより、水防活動とあいまって洪水等に対する堤防の安全性の向上を図ることが重要である、と記述している。