広島県弁護士会は8月18日、昨年8月20日に発生し、75人が犠牲となった広島県土砂災害における被災者への無料法律相談情報分析結果を発表した。

分析結果を作成した同県弁護士会災害対策委員会の今田健太郎弁護士は「日弁連が作成した東日本大震災における無料法律相談情報分析結果を参考にした。土砂災害時の法律相談を分析したものはこれまでなかったので、今後の土砂災害発生時におけるリーガル・ニーズの参考になれば」と話す。

広島県弁護士会が広島土砂災害直後から立ち上げた無料法律相談には、面談や電話など合わせて250件の被災者からの相談が持ちよられた。分析結果では、23の類型に分けられた相談内容の分布のほか、月ごとの受付構成比率や年代構成、地区による相談内容の違いなどについて明らかにしている。

(表1)広島弁護士会に寄せられた全相談内容

津波被害が大きかった東日本大震災と違い、土砂災害では流されてしまった家の隣の家が全く被害を受けていないというケースもある。今田氏は土砂災害の法律相談の特徴として「自宅の壁が崩壊して、下の家に損害を与えた。賠償の責任はあるか」など「工作物・相隣関係」に関する相談が多かったと分析する。また、大きな被害をこうむった広島市安佐南区と同安佐北区でも住民の住居形態により相談の内容が変化したという。「安佐北区は持ち家率が高く、安佐南区では賃貸アパートに住む住民が多かったため、安佐南区では不動産賃貸借に絡む相談が多かった」(今田氏)。

また、広島市全体で「災害関連法令」に対する相談も23%発生した。これは住居が損壊した場合の国の支援策である「被災者生活再建支援金」(住居全壊の場合、基礎支援金が原則100万円)や、それらを受け取る前提となる「り災証明書」の発行に関する情報提供だという。今回の調査に協力した、東日本大震災時に被災者からの4万件のリーガル・ニーズをデータ化した実績を持つ岡本正弁護士は「このような相談傾向は、東日本大震災の都市部の津波・地震被災地(たとえば仙台市や石巻市など)のリーガル・ニーズと共通する傾向がみられた」と話している。

(表2)「12 災害関連法令」のうち、「り災証明」の占める割合

【参照】
「平成26年(2014年)8月広島市豪雨災害無料法律相談情報分析結果(第1次分析)」
https://www.hiroben.or.jp/news_info.php?newsid=578

「広島土砂災害から1年 弁護士会が250件の災害無料法律相談の分析結果を発表」(Yahoo!個人)
岡本正 (弁護士・医療経営士・マンション管理士・中央大学大学院客員教授)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/okamototadashi/20150820-00048679/