国連女性機関(UNウィメン)のバフース事務局長は1月31日までに時事通信の書面インタビューに応じ、男女間のジェンダー格差について、世界的に格差解消のペースが「停滞気味で、おぼつかない」と評した。教育分野などで進展が見られる一方、女性に対する暴力のまん延など懸念すべき傾向が見られると指摘。政府や企業がより積極的な役割を果たす必要があると訴えた。
 2011年に設立されたUNウィメンは、30年までにあらゆる分野での男女格差解消を目指している。国連によると、過去約20年で識字率や初等教育修了率の差は大幅に縮小された。ただ、就労機会や家事負担の格差是正は思うように進まず、児童婚など差別的な風習も根強く残る。
 バフース氏は、政変や紛争、気候変動などにより、格差が再び拡大している国があると説明。生成AI(人工知能)を使った性的偽画像(ディープフェイク)の作成や拡散など新しい形の暴力も広がっていると危機感を示し、「政府による規制や企業側の安全対策が欠かせない」と語った。
 日本は各国の男女平等度を示す世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」で148カ国中118位。バフース氏は「健康や教育分野では世界上位に入っており、男女平等を実現する上で必要な基盤はある」と分析した。女性がさらに政治や経済に参画するには「持続的な官民の取り組みが必要」とし、政治主導で関連政策を進めるほか、より柔軟な就労環境をつくることがカギになると呼び掛けた。
 また、「女性・男性はこうあるべきだ」といった性別規範を解体するには、年齢や性別を問わず社会全体を巻き込んだ議論が重要だと主張。格差解消は社会全体に利益をもたらすと強調した。
 バフース氏は日本政府の招待で昨年12月に来日した。茂木敏充外相と会談したほか、国会議員や企業幹部らと意見交換した。 
〔写真説明〕バフース氏 国連女性機関(UNウィメン)事務局長(UNウィメン提供)

(ニュース提供元:時事通信社)