2026/05/29
防災・危機管理ニュース
米新興アンソロピックの最新人工知能(AI)モデル「クロード・ミュトス」の登場で、高性能AIの悪用への警戒感が高まっている。マルウエア(悪意のあるプログラム)解析の第一人者として知られる三井物産セキュアディレクション(東京)の吉川孝志フェローは28日までにインタビューに応じ、「サイバー攻撃に必要な技術、コスト、時間のハードルが格段に低くなり、従来の防御の常識が通用しなくなっている」と警鐘を鳴らした。
ミュトスに代表される最新AIモデルは、システムの脆弱(ぜいじゃく)性を発見する能力が高いとされる。しかし、吉川氏は「最大の変化は技術の高度化よりも攻撃の『大衆化』だ」と指摘する。例として、人間がAIに対し、欠陥が修正されていない機器を探すよう命令するケースを挙げ、「AIが短時間のうちに標的リストを示し、攻撃コードのひな型も書き、侵入に成功すれば、システムのどこを狙うべきかを助言までするような事態が想定される」と危惧する。いずれも熟練ハッカーが勘と経験を頼りにしてきた作業だ。
また、サイバー攻撃の仕組み自体は変わらなくても、AIの進化により「攻撃のハードルが下がり、速度が上がる」と懸念する。その結果、標的の範囲が広がり、「うちは小さい企業だから狙われないだろう、という認識が通用しなくなる」とみている。
どんな対策が必要になるのか。吉川氏は「高価なAI防御システムでなく、従来行われてきた当たり前の対策だ」と説く。なぜなら、「多くの攻撃者はわざわざ手間のかかる標的を狙わず、基本的な不備を突いてくる」ためだ。端末など自社の資産を把握し、インターネット上に公開されている機器を適切に管理し、複数の手段による認証や修正プログラムを適用する、といった地道な取り組みが効果を生むと強調。「施錠された守りの堅い家よりも、無施錠の家が狙われる原則はサイバー空間にも当てはまる」と訴えた。
〔写真説明〕オンラインでインタビューに応じる三井物産セキュアディレクションの吉川孝志フェロー=26日午後
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
失われた危機意識を取り戻す災害図上訓練で自分ごと化 ミツバ
どのメーカー系列にも属さず、複数の自動車メーカーや1次サプライヤーに四輪と二輪用の電装部品を供給する独立系のサプライヤーであるミツバ(群馬県桐生市、日野貞実代表取締役社長)。近年、過去に考えられた災害対策が、途絶えつつあった。同社では“自分ごと化”で従業員の危機意識を高めるため、災害図上訓練を実施。参加者の意欲が高まり、対策用の新たな要望が集まるなど、確実な手応えを感じている。
2026/05/26
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/05/26
-
-
-
-
-
顧客の安全と安心をAIと人のアシスタンスサービスで追求
JTBグローバルアシスタンス(東京都千代田区)は、渡航先でのけがや荷物の紛失、言語の壁など、海外旅行に関わるトラブルを包括的にサポートしてきた。昨今では地政学リスクの高まりに応じ、自社の危機管理ソリューションを生かした出張者や駐在員の安全確保にも注力している。創業35年を機に、AIと人間、それぞれの長所を組み合わせたハイブリッド型サービスの展開を目指す。混沌(こんとん)とした時代の中、海外旅行に伴うリスクを低下させ、旅行者の安全をどのように確保するのか。鈴木章敬代表取締役社長に話を聞いた。
2026/05/19
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方