【香港時事】香港北部・新界地区大埔で昨年11月に発生した高層住宅火災の原因を調査する独立委員会が、10月にも最終報告書を取りまとめる。独立委を取り仕切る代表弁護士は7月の委員会で「絶対に防げた。予見できたことも明らかだ」と発言。報告書が香港政府の監督責任をどこまで追及するかが焦点で、不満をためる住民の「ガス抜き」として、一部認める可能性もある。
 火災は修繕工事中に発生。7棟に燃え広がり、住民168人が命を落とした。昨年12月に設置された独立委は7月までに30回の会議を重ね、住民や施工会社、政府関係者から事情を聴取した。
 独立委の調査では、ずさんな施工実態が明らかになった。火元は作業員が吸ったたばこの吸い殻の可能性があり、火災警報システムは正常に作動しなかった。
 部屋の窓の外側には、遮音のため発泡スチロールなどが取り付けられていたが、これらは燃えやすく、規則上も禁止されていた。防煙構造の非常階段は作業がしやすいよう壁面に穴が開けられ、役に立たなかった。
 当初から政府の監督責任を問う声が強く、政府側代表は7月の委員会で「責任のすべてを政府に向けるのは不公平だ」と主張。これに対し、代表弁護士は「規制当局が関係者を過信し、火災の危険性が調査されなかった」と指摘した上で「制度が火災発生を許したため、(政府)関係部門にも責任の一端がある」と反論していた。
 中国の習近平国家主席は昨年12月、香港政府トップの李家超行政長官と面会し、原因究明と責任追及を早期に行うよう指示。火災に対する香港住民の不満が反政府活動につながるのを阻止する狙いがあったとみられる。 
〔写真説明〕火災が発生した高層住宅=7月23日、香港北部・大埔

(ニュース提供元:時事通信社)