地震発生翌日から商品に同封したメッセージカード

 

発送箱には翌日からメッセージカード

商品をお届けする梱包箱には、社員が手書きで感謝を綴ったメッセージカードの同封を即座に決定。発案から24 時間余りで体制を整え、翌日午後の発送分から速やかにすべてのお客様へ同梱を開始した。

さらに、メールアドレスの登録がある顧客にはメールで無事を伝え、オンラインで連絡が取れない顧客には、印刷に時間を要したものの発災約1週間後に書状を郵送。取引先の協力会社へも発災2日後には一斉に連絡を入れ、自社の無事と営業継続を速やかに伝えた。

10 年前は「理念と実態が計られた」

2016年の熊本地震は、同社にとってどのような出来事だったのか。本社エントランスには、当時の復興の歩みをまとめたパネルが今も飾られている。

「私たちは理念通りのことをやり遂げられたんだという自負を持つことができました。本気で理念を守れたんだという自信にもなりました。みんなでクリアしてきたんだよ、という意味であのパネルを飾っています」

現在、2016 年を経験した社員は全体の半数弱まで減った。しかし管理職はほとんどが当時を知るメンバーだ。

「今回は、その管理職たちが強さを出してくれました。10年前は、私が当日から会社に泊まり込み、私を中心に指示を出し動かなければならなかった。今回はみんなが動いてくれた。最初に2 階から1階に降りてきたときのみんなの行動、そして表情が10年前とは違って見え、『よし、やろう』というポジティブさも感じました」

社員には、会社がどういう動きをしているか、初日の段階からすべての情報をオープンにしていこうという方針にした。対策本部で当初3時間おきに更新していたBCP にもとづく時系列ドキュメントも、すぐ全社員に展開された。「安心して働ける要素の一つだったと思います」(広報担当者)。

10年前にはなかった社内SNSも有効に機能した。全社員がスマートフォンにアプリを入れ、普段から社内の交流や昼食メニューの確認などで日常的に使っているものだ。「今回は外からでも全体発信ができて、すごく有用でした」と西川氏は振り返る。ただし、こうも釘を刺す。

「大事なことを『そこに載せたら見てくれる』という仕事にしてはいけない。本当に大事なことはリアルで伝えるようにと言っています」

本社エントランスに今も飾られている2016 年の熊本地震への対応の記録

AI も活用 —冷静に社会状況を分析

さらに今回は、システム部門の社員がAI で構築した「被害情報ダッシュボード」が意思決定を支えた。行政のオープンデータなどから避難者数の推移や断水率を毎日自動で収集し、要点を可視化。菊池・八代・宇土の3方面への所要時間も定期的に記録し、渋滞の推移を把握した。

「データを見ながら、『渋滞が減ってきたからボランティア休暇をスタートしよう』と迅速な判断ができました。この社内向けシステムの知見は、今後の防災インフラとしても活用していく予定です」

再春館製薬所では、社員が被災地支援などの社会貢献活動に参加するための「ボランティア休暇制度」を導入している。